デジタル大辞泉
「下方」の意味・読み・例文・類語
した‐へ【下▽方】
死後に行くという地下の世界。あの世。黄泉の国。
「若ければ道行き知らじ賂はせむ―の使ひ負ひて通らせ」〈万・九〇五〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
した‐かた【下方】
〘名〙 (「したがた」とも)
① 下の方。
下位。また、しもざまの
庶民。
町人の家。したじた。しもつかた。しもかた。
※夜の寝覚(1045‐68頃)五「殿の上ばかりを頼む
かげにて、わがしたかたと思ひなすに」
※人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)二「下輩
(シタカタ)の噂の通り、
出所の慥でない、錦の籏を御戸帳とは」
②
長唄の
囃子(はやし)を演奏する者の称。所作事の
出囃子で、唄・三味線の演奏者が
山台の上段にすわるのに対して、下段にすわることから出た呼び名。〔
談義本・当世穴穿(1769‐71)〕
※歌舞伎・
独道中五十三駅(1827)五幕「『そんなら、ちょっと下稽古』『わしらは下方
(シタカタ)へ廻りやせう』」
した‐ざま【下方】
〘名〙 下の方。下辺。また、
下層階級の人々。しもざま。
※能因本枕(10C終)二五「
狩衣の前した様にまくり入てもゐるかし」
※
翁問答(1650)下「
聖人より下
(シタ)ざまのうまれつきには、必ず
気習の偏あるによって」
した‐へ【下方】
〘名〙 (下の方の意) 死後に行く地下の世界。よみの国。根の国。黄泉。
※万葉(8C後)五・九〇五「若ければ道ゆき知らじ幣(まひ)はせむ之多敝(シタヘ)の使負ひて通らせ」
か‐ほう ‥ハウ【下方】
※正法眼蔵(1231‐53)山水経「いはゆる地を流通し、空を流通し、上方に流通し、下方に流通す」 〔史記‐亀策伝〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報