下物(読み)したもの

精選版 日本国語大辞典 「下物」の意味・読み・例文・類語

した‐もの【下物】

〘名〙
値段の安いもの。安物(やすもの)
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「『下物(シタモノ)もねへの』『殻湿気(からっちけ)よ。下物売みじめといふ日だ』」
② 酒の肴(さかな)
病牀六尺(1902)〈正岡子規〉一七「客が来ても御馳走を出すといふ場合には必ず酒を出すのである。下物は菜漬位である」
③ 下取りする品物
洒落本・やまあらし(1808)三「なんぞおしたものでもぬりもののししきせたのゐなかへまはるも」

おろし‐もの【下物】

〘名〙
神仏に供えた物をとりさげた物や、貴人飲食物の残りもの。転じて、飲食物以外の物にも用いる。おさがり。おろし。〔侍中群要(1071か)〕
② 主君などから賜わる品。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)張湯第二九「公方から下物(ヲロシもの)がなうては、たすかるまいほどに」
古鉄など、鋳造(ちゅうぞう)し直される金属。または、鋳造し直したもの。
日葡辞書(1603‐04)「Voroximononi(ヲロシモノニ) スル」

か‐ぶつ【下物】

〘名〙 (酒とともに飲み下す物の意) 酒のさかな。〔洒落本・虚実柳巷方言(1794)〕
※新浦島(1895)〈幸田露伴〉一七「召し上られたる美酒は蘭陵の青旗立てたる家より部下の者に奪はせ、下物(カブツ)は極楽の飲食乃至は北鬱単越の香厨より掠め来らせましたるもの」 〔世説新語

くだされ‐もの【下物】

〘名〙 目上の人からもらったもの。いただいたもの。頂戴物。拝領品。たまわりもの。くだされ。
浄瑠璃伽羅先代萩(1785)六「御心を付られし此御菓子、頼朝公より下され物、有難(ありがたく)頂戴あれ」

くだり‐もの【下物】

〘名〙 上方から来た品物。上方で製造・加工し、地方へ送って売る製品。
※随筆・独寝(1724頃)上七「私は地打の仙人、くだりものの様なるそまつなる仙人にあらず」

くだし‐もの【下物】

〘名〙 京都から地方へ送る物。特に江戸へ送る物をいう。
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)上「おくだし物の御用ならば私に仰聞けられませ」

おり‐もの【下物】

〘名〙 婦人の内部生殖器から流下する血液、粘液、組織片などの総称。悪露。こしけ。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「下物」の意味・読み・例文・類語

した‐もの【下物】

下等で安価なもの。特に、安物の魚。
「ええ、うったうしく―ばかり並べたてるぞ」〈滑・八笑人・三〉

か‐ぶつ【下物】

酒のさかな。下酒物かしゅぶつ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「下物」の解説

下物 かぶつ

山川下物(やまかわ-かぶつ)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

普及版 字通 「下物」の読み・字形・画数・意味

【下物】かぶつ

酒の肴。

字通「下」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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