下田奉行(読み)しもだぶぎょう

精選版 日本国語大辞典 「下田奉行」の意味・読み・例文・類語

しもだ‐ぶぎょう ‥ブギャウ【下田奉行】

〘名〙 江戸幕府職名の一つ。伊豆下田に駐在し、出入船舶貨物を監査し、沿岸警備に当たり、また、その地の庶政を掌ったもの。元和二年(一六一六設置老中支配に属し、定員一名、ときに二名。与力一〇人、同心五〇人が付された。享保五年(一七二〇浦賀奉行の設置により廃止幕末、海防問題に対処するため天保一三年(一八四二)再び設置。これも弘化元年(一八四四)廃止されたが下田開港により安政元年(一八五四)にまた設置。万延元年(一八六〇)廃止。

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デジタル大辞泉 「下田奉行」の意味・読み・例文・類語

しもだ‐ぶぎょう〔‐ブギヤウ〕【下田奉行】

江戸幕府の職名。遠国奉行の一。元和2年(1616)設置。老中の支配に属し、下田港の警衛および出入船の監督を任とした。万延元年(1860)廃止。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「下田奉行」の意味・わかりやすい解説

下田奉行
しもだぶぎょう

江戸幕府の職名。遠国(おんごく)奉行の一つ。1616年(元和2)創置。定員は1人(ときに2人、老中支配、役高1000石、役料1000俵、布衣(ほい)、芙蓉間詰(ふようのまづめ))であった。配下に下田奉行支配組頭、下田奉行支配調役(しらべやく)、与力、同心、足軽、水主頭取(かことうどり)、足留(あしどめ)水主などがあり、伊豆下田港静岡県下田市)の警備や海上往来の船舶およびその貨物の検査を職掌とした。1720年(享保5)廃止(かわって浦賀奉行創置、幕末に及ぶ)。1842年(天保13)再置、44年(弘化1)廃止。54年(安政1)三たび設置。定員2人(役高2000石、役料1000俵、諸大夫(しょだいぶ))となる。59年下田港の閉鎖により、翌年(万延1)廃止。支配向は外国奉行神奈川奉行の支配向に転じた。

[北原章男]

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百科事典マイペディア 「下田奉行」の意味・わかりやすい解説

下田奉行【しもだぶぎょう】

江戸幕府の遠国奉行の一。役高1000石,役料1000俵。1616年に設置。伊豆国下田番所の長で,下田湊の警護,廻船積荷改などにあたった。1720年浦賀奉行に統轄されて廃止。1842年に再置されるが1844年再び廃止。1854年神奈川条約締結に伴う下田開港で3度目の設置。
→関連項目下田条約

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改訂新版 世界大百科事典 「下田奉行」の意味・わかりやすい解説

下田奉行 (しもだぶぎょう)

江戸幕府の職名。伊豆国下田番所の長官。遠国奉行の一つで老中に所属。下田港の守衛と船舶の出入りを監督した。1616年(元和2)設置。初代奉行今村重長。1720年(享保5)相模国浦賀番所に移り一時廃止されたが,1842年(天保13)再設。44年(弘化1)また廃され,54年(安政1)復活し,幕末の外交上に重要な出張機関となった。定員1~2名,高1000石,役禄1000俵。属僚に下田奉行支配組頭,同支配調役がある。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「下田奉行」の解説

下田奉行
しもだぶぎょう

江戸幕府の職名。遠国奉行の一つ。伊豆国下田で江戸に入る船舶と積荷を検査した役人。1616年(元和2)設置といわれ,はじめ今村氏が代々勤めた。96年(元禄9)2人役となったが,1702年に再び1人役。20年(享保5)番所が相模国浦賀に移転し,奉行も移動,浦賀奉行となった。海防が急務となった1842年(天保13)再置され,2年後いったん廃されたが,54年(安政元)復活。役高1000石。役料1000俵。老中支配。芙蓉間席。60年(万延元)廃止。

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旺文社日本史事典 三訂版 「下田奉行」の解説

下田奉行
しもだぶぎょう

江戸幕府の職名で,遠国 (おんごく) 奉行
1616年伊豆(静岡県)下田に置かれ,大坂〜江戸航路の廻船を検問。浦賀奉行の新設で一時廃止されたが,1854年下田開港で復活。以後ハリスとの交渉など幕末外交上重要な役割を果たした。

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世界大百科事典(旧版)内の下田奉行の言及

【伊豆国】より

… 伊豆は小国ではあるが,江戸の南西に位置し江戸を防御する自然立地をなしており,交通上の要衝にあたった。東海道箱根関を控える三島には代官陣屋が置かれ,江戸~大坂間の海上交通の要所であった下田には16年(元和2)下田奉行が置かれ,江戸出入津のすべての船舶を厳重に検査した。元和偃武(げんなえんぶ)以来,幕府の中央集権化の動きが緊急となり,城下町江戸の建設も加わっての措置であった。…

※「下田奉行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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