したひも【下紐】 解(と)く
① (「解く」が自動詞下
二段活用の場合。
相手に思
われていると自分の
下紐が自然に解けるという
俗信から) 下紐が解ける。また、結ばれたものが解けるというところから、花のひらくたとえにもいう。
※
万葉(8C後)一二・三一四五「
吾妹子(わぎもこ)し吾
(あ)を偲ふらし草枕旅の
丸寝(まろね)に下紐解
(したびもとけぬ)」
※新古今(1205)春上・八四「ふして思ひおきて詠
(なが)むる
春雨に花の下ひもいかでとくらん〈よみ人しらず〉」
② (「解く」が他動詞
四段活用の場合。下紐を解いて
衣服をぬぐ意から)
男女が
共寝をする。特に女性が男性に
肌身を許す。身をまかせる。下紐を許す。
※
伊勢物語(10C前)
三七「われならでしたひもとくな朝がほのゆふかげ待たぬ花にはありとも」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「下紐解く」の意味・読み・例文・類語
下紐解・く
(「解く」が四段活用の場合)《下紐を解いて衣服を脱ぐ意から》男女が共寝をする。
「われならで―・くな朝顔の夕影またぬ花にはありとも」〈伊勢・三七〉
(「解く」が下二段活用の場合)
1 下紐が解ける。相手に思われていると、下紐が自然に解けると信じられていた。
「我妹子し我を偲ふらし草枕旅のまろ寝に―・けぬ」〈万・三一四五〉
2 《結ばれていたものが解ける意から》花が開く。
「花ははや―・けてから衣たつたの山に匂ふ春風」〈続千載・雑上〉
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