下足(読み)ゲソク

デジタル大辞泉 「下足」の意味・読み・例文・類語

げ‐そく【下足】

脱いだ履物
下足番」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「下足」の意味・読み・例文・類語

げ‐そく【下足】

〘名〙
① 足をさげること。足を、下におろすこと。
法華義疏(7C前)一「夫聖人所為、非因縁、必因遣可利故然也。即所謂下足挙足、皆従道場来也」
② ぬいだ、はきもの。
俳諧師(1908)〈高浜虚子〉五八「下足(ゲソク)を受取り乍ら恍惚として心は小光の辺に飛ぶといったやうな心持で」
読売新聞‐明治二六年(1893)四月二三日「いづれも土地の旧習として茶汲及び下足等の雇人は無料なる村内の者を用ゐ」
※滑稽本・七偏人(1857‐63)四「かちかち山土船で見物して居て、下足を八文とられたとよ」

さげ‐あし【下足】

〘名〙 取引関係で、売買、取引する物件の値が下落の状勢にあること。さげ。〔現代大辞典(1922)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「下足」の意味・わかりやすい解説

下足 (げそく)

客などが座敷へあがるためにぬいだ履物を下足という。江戸時代から芝居小屋料亭寄席遊郭,集会所,催物場などが,下足番を置いて客の履物をあずかって下足札をわたした。旅館も客の履物をあずかるが,昔の旅客はわらじ履きだったので下足札はわたさなかった。それゆえ旅館では下足とはいわない。明治末からは東京にデパートが開店したが,初期には店内に緋もうせんやじゅうたんなどを敷きつめて,客の履物をあずかってスリッパあるいは上草履に履き替えさせて下足札をわたしたこともある。1923年の関東大震災以後は履物を履いたままはいれるほうが便利なので,下足番を置くところは少なくなった。下足札は10cm×5cmぐらいの長方形の板で番号などが書いてあった。すし屋イカの足をゲソというのは下足からきた符丁である。花柳界では下足とはいわないで,〈おみあし〉といった。
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