下顎前突(受け口、反対咬合)(読み)かがくぜんとつ(うけくち、はんたいこうごう)(英語表記)Mandibular protraction (reversed occlusion)

六訂版 家庭医学大全科 の解説

下顎前突(受け口、反対咬合)
かがくぜんとつ(うけくち、はんたいこうごう)
Mandibular protraction (reversed occlusion)
(歯と歯肉の病気)

どんな病気か

 下顎前突(受け口)とは、一般に上あごと下あごの前歯反対に噛み合っている状態のことをいいます。(図12図13)。下顎前突には、下あごの過度な成長や上あごの成長不十分による骨格性のものと、上の歯が後方に傾斜したり下の前歯が前方に傾斜している歯性のものがあります。

原因は何か

 遺伝口唇裂(こうしんれつ)口蓋裂(こうがいれつ)内分泌疾患などの病気や、舌の位置・大きさ、悪い癖が長く続いた場合などが原因となります。

症状の現れ方

 噛み合わせが反対になっているために噛む力が弱くなったり、サ行やタ行などが発音しづらくなることがあります。また、下あごが前に出ているため外観上の問題から心理面に悪影響を及ぼすこともあります。

治療の方法

 幼少期に骨格性のあごの前後のずれがみられる場合、下あごの成長を抑制するチンキャップ(図14)、上あごの成長を促進させる上顎前方牽引(じょうがくぜんぽうけんいん)装置(図15)を用いて治療します。歯の位置に異常がある場合には、機能的矯正装置(図16)、床矯正装置やリンガルアーチ(図17)などの装置を用いて治療します。

 永久歯列期では、マルチブラケット装置による治療を行い、また、必要に応じて歯を抜いて治療をする場合もあります。あごのずれが大きい場合は、外科手術を伴う歯科矯正治療が行われることもあります。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

下顎前突
かがくぜんとつ

いわゆる、うけ口のことで、上顎前歯よりも下顎前歯が前に突き出ている状態の不正咬合(こうごう)の総称である。上顎または下顎前歯の位置異常によるものと、下顎歯列全体の位置異常によるものとがあり、治療は後者のほうがむずかしい。日本人には比較的多くみられる不正咬合である。

[市丸展子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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