不平等選挙(読み)ふびょうどうせんきょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不平等選挙」の意味・わかりやすい解説

不平等選挙
ふびょうどうせんきょ

選挙人選挙権に平等な価値を認めない選挙制度。投票の価値に等級を付す等級選挙がこれにあたる。これには,一人一票主義によらずに,選挙人の財産,教育,門地などによって1人2票あるいは3票というように複数の投票権を認める複数投票制,選挙人の財産,教育,門地等に応じ階級別に選挙を行わしめる等級別投票制 (例:1918年革命前のプロシアの三級選挙制) などがある。日本国憲法は,公務員の選挙につき成年者による普通選挙を保障し (15条3項) ,人種信条性別,社会的身分,門地,教育,財産または収入による差別を禁止しており (44条但書) ,またなんぴとも政治的に差別してはならないとする基本原則 (14条1項) からいって,選挙権の価値に差異を設けることは許されない。今日,人口変動にかかわらず定数が是正されないことからくる投票価値の不均衡が不平等選挙にならないかが問題とされている。 (→平等選挙 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android