不忍文庫(読み)しのばずぶんこ

改訂新版 世界大百科事典 「不忍文庫」の意味・わかりやすい解説

不忍文庫 (しのばずぶんこ)

江戸時代中期の国学者屋代弘賢(ひろかた)の文庫。江戸,上野不忍池畔にあったところからこの名がある。弘賢は江戸時代屈指の蔵書家といわれ,約5万冊の蔵書を書庫3棟に収蔵していた。没後大部分が阿波藩主蜂須賀斉昌に譲渡され,阿波文庫に加えられた。明治維新後,同文庫は徳島県立図書館に委託されていたが,第2次世界大戦下の空襲と1950年の同館の火災によりほとんどを焼失した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の不忍文庫の言及

【文庫】より

…現在は内閣文庫として伝わっている。そのほか近世には水戸の彰考館文庫,加賀前田氏の尊経閣文庫,近衛家の陽明文庫など,大名や藩による文庫のほか,篤学者による文庫,たとえば堀河塾の古義堂文庫,屋代弘賢の不忍(しのばず)文庫などもふえた。これらは上層階級向けの閉鎖的なものだったが,医師板坂卜斎の浅草文庫は,庶民に開放されたものとして特筆さるべきである。…

※「不忍文庫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android