世界の工場(読み)セカイノコウジョウ

デジタル大辞泉 「世界の工場」の意味・読み・例文・類語

せかい‐の‐こうじょう〔‐コウヂヤウ〕【世界の工場】

The Workshop of the World》19世紀、産業革命によって世界覇権を握った英国のこと。経済学者ジェボンズ言葉。世界中から原材料を輸入し、大量生産した工業製品を世界中に輸出して、一国で世界の工業生産額の半分を占めていたことから。→パクスブリタニカ
[補説]20世紀には米国と日本、21世紀初頭には中国をさす語となっている。

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百科事典マイペディア 「世界の工場」の意味・わかりやすい解説

世界の工場【せかいのこうじょう】

歴史的には,産業革命以後の英国の経済力や国際的な地位を端的に示す言葉。世界各地から原材料を輸入して国内加工・生産した製品を輸出し,国力を高めていったことをさす。近年は,豊富な労働力を低賃金で確保できる中国に1990年代以降多くの外国企業が進出し,工業生産が大幅に伸びた結果安価な製品が大量に世界各地へ輸出されるようになったことを呼ぶ場合が多い。
→関連項目イギリス

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「世界の工場」の解説

「世界の工場」(せかいのこうじょう)
Workshop of the World

19世紀中葉のイギリスの国際的地位を表現した言葉。産業革命により圧倒的な工業力を誇ったイギリスがこの時期に工業製品の世界への独占的な供給者となったことを,ディズレーリが1838年の議会演説でこのように表現したことから有名になった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「世界の工場」の解説

世界の工場
せかいのこうじょう

産業革命期の世界経済におけるイギリスの生産力を評した語
イギリスの経済学者ジェヴォンズ(1835〜82)の言葉。最初に産業革命を経験し,19世紀前半に世界の工業生産額の半分を占めたイギリスの生産力を象徴した言葉。

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世界大百科事典(旧版)内の世界の工場の言及

【イギリス】より

…しかし,この国の歴史におけるイングランド勢力の膨張にともなって,イギリスという呼称は地域のうえで,〈イングランドとウェールズ〉,スコットランドを含めた〈グレート・ブリテン〉,さらにはこれにアイルランドを含め,また次にこの国の海外植民地獲得に応じて,〈大英帝国〉(あるいはイギリス連邦)までを含む広範な地域をさして,無差別な,漠然かつあいまいな使われ方をしている。そして幕末開国以来の日本人のイギリス観を支配したのは,日本と同じこの小さな島国の強大化の理由を探ろうとする視角であり,植民地帝国,〈世界の工場〉,立憲君主制の下での議会政治,ジェントルマンの国といったイギリスのイメージが日本人に定着していった。 しかしながら,かかるイギリス観の基底には,二つの誤解が存する。…

※「世界の工場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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