両部(読み)りょうぶ

精選版 日本国語大辞典 「両部」の意味・読み・例文・類語

りょう‐ぶ リャウ‥【両部】

〘名〙
二つ部分。二部。二組。
※正法眼蔵(1231‐53)見仏「参学の屋裏に両部の典籍あり、いはゆる参見典と、参不見典となり」 〔漢書‐尹翁帰伝〕
② 仏語。密教における二大法門、金剛界胎蔵界との併称。両界
※性霊集‐序(835頃)「沙門来求聖教。以両部秘奥壇儀印契
※虎寛本狂言・梟(室町末‐近世初)「胎金両部の峯をわけ、不浄をへだつる忍耨の袈裟をかけ」
※俳諧・幻住菴記(1690頃)「翠微に登る事三曲二百歩にして、八幡宮たたせたまふ。神体は彌陀の尊像とかや。唯一の家には甚忌なる事を、両部光を和げ、利益の塵を同じうしたまふも又貴し」
神皇正統記(1339‐43)中「青龍の義明・日本の空海 両部を伝」
⑤ 中国唐代の朝廷の式楽で、堂下に立って演奏する立部伎と、堂上ですわって奏する坐部伎との称。また、この二つで演奏する音楽。南斉の孔稚圭が、庭の蛙の声を両部の奏する音楽にたとえたという「南史‐孔珪伝」の故事から、蛙の鳴き声もいう。
筑波問答(1357‐72頃)「彼の孔珪を学ばざれども、折にふれては声々すだく、霞がくれの水の面は、げに両部の鼓吹とも聞きなしつべし」 〔蘇軾‐次韻述古過周長官夜飲詩〕

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デジタル大辞泉 「両部」の意味・読み・例文・類語

りょう‐ぶ〔リヤウ‐〕【両部】

二つの部分。両方の部分。
密教における二大法門。金剛界と胎蔵界。両界。
両部神道」の略。

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