中国絵画(読み)ちゅうごくかいが

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中国絵画」の意味・わかりやすい解説

中国絵画
ちゅうごくかいが

前 15世紀から前3世紀の間の先秦時代は,工芸品などに施された装飾文様が主体であった。周代には宮殿祠堂などの建築の発達に伴い壁画が描かれ,動物,人物,鬼神などの画題が象徴的に扱われた。春秋・戦国時代から漢代になると,西方の美術の影響を受けて象徴的表現に写実的表現が加味され,次第に動物画,人物画などが主流となった。六朝時代には仏教興隆に伴い寺院の壁画の制作など仏教絵画が中心となり,その様式もインド,西域など広い地域のものが流入した。また中国の伝統的絵画の発達もめざましく,絵画観,画論などが成立,後世の中国絵画発展の基礎ができあがった。隋・唐時代には仏教絵画がますます隆盛となり,西方の様式を受入れながら中国独自の様式が生れた。一方,貴族の生活に密着した儒教的絵画,鑑賞絵画も著しく発達した。五代,宋に入ると山水画花鳥画が発達し,自然主義的精神に基づく写実性の強い表現形式が強調された。画院を背景として絵画が発展したのも大きな特色南宋では江南の地方で文人画が発達し,北方風の絵画との2様式が展開した。この時代に絵画は宗教性を離れ,純粋に絵画としての鑑賞性が打立てられた。元・明・清時代には,宋代の絵画観を継承して文人画が盛行した。清代以後,注目すべき展開はない。

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