中山世譜(読み)ちゆうざんせいふ

日本歴史地名大系 「中山世譜」の解説

中山世譜
ちゆうざんせいふ

原本 尚家

写本 県立図書館ほか

解説 一七〇一年に蔡鐸が「中山世鑑」を漢訳・補訂した蔡鐸本と、二五年に息子の蔡温が蔡鐸本を改訂した蔡温本の二種がある。蔡鐸本は正巻五・附巻一よりなる。巻一は総論、巻二―五は舜天から尚益までを扱う。蔡温本は成立後も記事が追加・仕次されており、巻一―二は総論、巻三は天孫氏から武寧まで、巻四―五は第一尚氏、巻六―一三は第二尚氏の歴代王を中心とする記事を載せている。附巻が七巻あり、おもに薩摩・日本との関係記事を別集している。なお県立博物館蔵の評定所格護定本「中山世譜(一九冊)は県指定文化財。

活字本 琉球史料叢書四・五(蔡温本)

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改訂新版 世界大百科事典 「中山世譜」の意味・わかりやすい解説

中山世譜 (ちゅうざんせいふ)

歴代国王の治世を記した琉球史書。1701年蔡鐸(さいたく)らによって編集された後(蔡鐸本),1724年その子蔡温により大幅な改訂が加えられ,その後も史官の手で書きつがれた(蔡温本)。正巻14,付巻7よりなる。〈中山〉は琉球の別称,〈世譜〉は諸士の〈家譜〉に対する王家系譜の意味。正巻は対中国関係,付巻は日本関係(島津氏徳川幕府)と区別して記述する。琉球王国を代表する正史の一つである。原文漢文である。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「中山世譜」の解説

中山世譜
ちゅうざんせいふ

首里王府の正史。蔡鐸(さいたく)本,蔡温(さいおん)本の2種あるが,通常蔡温本をさす。蔡鐸本は久米村総役の蔡鐸が編集,1701年完成。正巻5,付巻1,薩摩関係の付巻1の全7巻,羽地朝秀が著した「中山世鑑」の漢訳・修訂を目的とし,「歴代宝案」などから新たな記録をとりいれている。蔡温本は汪楫(おうしゅう)の「中山沿革志」など新資料の利用により蔡鐸の「中山世譜」を改修して25年編集。体裁は蔡鐸本を引き継ぎ,中山王世系を正巻,薩摩関係を付巻とする。蔡鐸本に比べ記録は大幅に増加し,編集にあたって蔡温の合理性が随所に発揮されているが,中国資料にあわせて旧来の正史の伝承を改変するなどの問題点もある。廃藩時の1876年(明治9)まで書き継がれた沖縄研究の第一級資料。「琉球史料叢書」所収

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百科事典マイペディア 「中山世譜」の意味・わかりやすい解説

中山世譜【ちゅうざんせいふ】

琉球の正史。正巻14巻・附巻7巻。1701年蔡鐸(さいたく)らが《中山世鑑(せいかん)》を補訂・漢訳化し(蔡鐸本),1724年から翌年にかけてその子蔡温(さいおん)が大幅な改訂を加え,その後も史官の手で歴代追記がなされた(蔡温本)。正巻にはおもに中国との交渉記事を,附巻には日本関係(島津氏)との交渉記事を収める。《琉球史料叢書》所収。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中山世譜」の意味・わかりやすい解説

中山世譜
ちゅうざんせいふ

琉球(りゅうきゅう)王国の正史(せいし)の一つ。1701年(元禄14)『中山世鑑(せいかん)』をもとに蔡鐸(さいたく)により漢文でほぼまとめられたが、1725年(享保10)その子蔡温(さいおん)の手で大幅な改訂が加えられた。前者を蔡鐸本、後者を蔡温本と称して区別するが、一般に『中山世譜』という場合は蔡温本をさす。蔡温本はその後も史官の手で書き継がれ全13巻、附巻七よりなる。「中山」は琉球の別称で、「世譜」は諸士の家譜に対する王家の記録を意味し、歴代国王の治世の概要を記している。沖縄歴史研究の根本史料の一つである。

[高良倉吉]

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