中山峠(読み)なかやまとうげ

日本歴史地名大系 「中山峠」の解説

中山峠
なかやまとうげ

札幌市南区と後志支庁虻田あぶた喜茂別町の境界にある峠。標高八三六メートル。国道二三〇号が通る。この道路は明治四年(一八七一)に東本願寺法嗣現如(大谷光瑩)指導のもとに開削された幅六尺の本願寺道路(札幌―虻田間、虻田新道ともいう)が起源。その開通時に峠を越えた第二代開拓使長官東久世一行の副島参議により、峠から余市よいち岳と札幌岳の二つの高山両側に見えることから「中山峠」と命名されたという(喜茂別町史)

中山峠
なかやまとうげ

舘岩村の東端に位置し、田島たじま滝原たきのはらに通じる。標高一一四〇メートル。「新編会津風土記」によると、八総やそう村を東に一里一七町登ると頂上に至り、峠を越えて河島組の諸村に通じていた。近世当峠は熨斗戸組のほか古町組の檜枝岐ひのえまた(現檜枝岐村)大桃おおもも(現伊南村)の人々が産物を田島若松、関東方面へ送り、帰途に米をはじめとする生活必需品を移入する重要なルートであった。嘉永年間(一八四八―五四)と推定される三月の買入米書付(檜枝岐村史)によると、熨斗戸組の村々は冬に買入米が底をつくと若松城下で米を買付け、積雪で馬の通れない当峠を背負って運んで食いつないだといい、檜枝岐村も同様であった。

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改訂新版 世界大百科事典 「中山峠」の意味・わかりやすい解説

中山峠 (なかやまとうげ)

北海道南西部,札幌市と後志(しりべし)支庁喜茂別(きもべつ)町の境にある峠。標高836m。1871年(明治4)東本願寺法嗣現如により道南と札幌を結ぶ本願寺街道の峠として開かれた。周辺の原生林の景観,羊蹄山やニセコ山地の雄大な眺めがすばらしい。付近にはスキー場などがある。支笏(しこつ)洞爺国立公園に含まれ,峠を通る国道230号線は札幌~定山渓(じようざんけい)~洞爺湖を結ぶ重要な観光ルートとなっている。
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百科事典マイペディア 「中山峠」の意味・わかりやすい解説

中山峠【なかやまとうげ】

北海道南西部,札幌市・虻田郡喜茂別町の境界上にある峠。標高831m。かつては札幌〜倶知安(くっちゃん)間の要地であったが,現在は支笏洞爺(しこつとうや)国立公園内の洞爺湖定山渓を連絡する観光路(国道230号線)が通じ,豊平川上流の原始林や羊蹄(ようてい)山の展望にすぐれる。
→関連項目喜茂別[町]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中山峠」の意味・わかりやすい解説

中山峠
なかやまとうげ

北海道西部、後志(しりべし)総合振興局管内の喜茂別町(きもべつちょう)と札幌市の境界にある峠。標高831メートル。札幌と洞爺(とうや)湖を結ぶ観光道路の国道230号が通じるが、明治初年、本願寺の門徒によって建設された本願寺道路をその起源としている。峠には休憩所や展望所があり、近くに喜茂別岳、無意根(むいね)山の連峰が迫り、遠くに尻別岳、羊蹄(ようてい)山の秀峰を望むことができる。冬季は約4メートルの積雪をみ、スキーの適地で、スキー場やロッジなどの設備が整っている。札幌と洞爺湖を結ぶ路線バスが、通年運転されている。

[奈良部理]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中山峠」の意味・わかりやすい解説

中山峠
なかやまとうげ

北海道西部,札幌市と喜茂別 (きもべつ) 町の境にある峠。標高 836m。札幌と太平洋岸を結ぶ道路 (現国道 230号線) が通じ,かつて駅逓がおかれていた。峠付近はエゾマツトドマツなどの原生林でおおわれ,羊蹄山,ニセコ連峰恵庭岳などを遠望できる景勝地中山峠スキー場,中山峠体育館があり,支笏洞爺国立公園に属する。

中山峠
なかやまとうげ

別称堺田 (さかいだ) 峠。宮城,山形両県境,奥羽山脈の大柴山 (1083m) の南の鞍部にある峠。標高 354m。奥羽山脈を横切って,東斜面の江合川と西斜面の小国川の谷を結ぶ国道 47号線 (北羽前街道) が通る。付近には鳴子温泉郷がある。

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