中戸川吉二(読み)なかとがわきちじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中戸川吉二」の意味・わかりやすい解説

中戸川吉二
なかとがわきちじ
(1896―1942)

小説家。北海道生まれ。神経衰弱のため明治大学を中退里見弴(とん)に師事し、短編集『イボタの虫』(1919)や長編『反射する心』(1918~20)などにより、新進作家として嘱望される。微妙な心理描写に優れた私小説的作風をもち、『縁なき衆生』(1920)、『友情』『青春』(ともに1921)、『北村十吉』(1922)を矢つぎばやに刊行し、また、雑誌『随筆』を創刊(1923)するが、大正末から文壇を遠ざかり、昭和期に若干文芸批評などを残した。

[柳沢孝子]

『『日本現代文学全集105 現代名作選 一』(1969・講談社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中戸川吉二」の解説

中戸川吉二 なかとがわ-きちじ

1896-1942 大正-昭和時代前期の小説家。
明治29年5月20日生まれ。里見弴(さとみ-とん)に師事する。大正7年第5次「新思潮同人となる。私小説的作風で知られた。12年雑誌「随筆」を創刊。昭和17年11月19日死去。47歳。北海道出身。明大中退。作品に「反射する心」「イボタの虫」など。
格言など】自分性格にある,不愉快なものから卒業して了(しま)いたい気持(創作動機)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android