朝日日本歴史人物事典 「中村仲蔵(3代)」の解説
中村仲蔵(3代)
生年:文化6(1809)
幕末明治前期の歌舞伎役者。江戸生まれ。旅宿番頭村田市兵衛と日本舞踊志賀山流11代家元志賀山せいの子。幼名は富太郎(亀吉とも)。5代目中村伝九郎の門弟。中村鶴蔵から慶応1(1865)年に仲蔵を襲名。屋号成雀屋,舞鶴屋。俳名雀枝,秀雀,舞鶴,秀鶴など。時代物,世話物ともに巧みで所作事に長じ,実悪は名人の名を得た。当たり役のなかでは出世芸の蝙蝠の安五郎が名高い。芸道によく通じて尊敬を受けた。『手前味噌』『絶句帖』などの著作があり,いずれも貴重な資料である。4代目は3代目仲蔵・13代目中村勘三郎の門弟の12代目中村勘五郎が大正4(1915)年に襲名したが,翌年没している。<著作>郡司正勝校注『手前味噌』(復刻,1969。青蛙選書)
(池上文男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報