中沢氏(読み)なかざわうじ

改訂新版 世界大百科事典 「中沢氏」の意味・わかりやすい解説

中沢氏 (なかざわうじ)

中世武家。信濃国の豪族諏訪氏一族で,同国伊那郡中沢郷に拠ったものが著名。諏訪系図に真重(中沢神太)がみえる。《吾妻鏡》に中沢成綱など一族の名がみえ,南北朝初期以来,室町幕府奉行人として中沢性忍・信綱・定阿・氏綱・秀綱・之綱などがいる。彼らは御前奉行となり,有力社寺の担当奉行となった。室町後期,中沢氏の所領は丹波国(広瀬・久富荘)や洛中烏丸・錦小路西頰屋地)などに分布している。鎌倉期以来出雲国にみえる中沢氏もこの一族。下って江戸幕臣の中沢氏も,この諏訪氏一族であろう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の中沢氏の言及

【大山荘】より

…その後も国役をめぐる国衙との抗争がみられるものの荘支配は安定し,02年に46町であった荘田は22年(保安3)には荘田60町となり加納田も20余町におよんだ。 鎌倉時代,承久の乱(1221)後に中沢基政が地頭として入部して以来,東寺と中沢氏は所務をめぐる争いをくり返した。1241年(仁治2)に始まる地頭請でも年貢抑留が続き,東寺の訴えにより94年(永仁2)下地中分が決定,翌年池尻村内一井谷・賀茂茎谷・西田井村の田25町,畠5町と山林が東寺分と定められた。…

※「中沢氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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