中津川市（読み）ナカツガワシ

デジタル大辞泉

なかつがわ‐し〔なかつがは‐〕【中津川市】

⇒中津川

出典　小学館

日本歴史地名大系

中津川市
なかつがわし

面積：二七五・九三平方キロ

県東端に位置し、中央アルプスに連なる標高二一八九・八メートルの恵那山を主峰とする山々に囲まれる。木曾川が市域を貫流し、中津川・落合（おちあい）川・阿木（あぎ）川などが木曾川に合流する。市域の最低標高は二七〇メートル。河成段丘による台地や丘陵、扇状地が広い面積を占め沖積地は狭く、南東に高く北西が低くなっている。東は長野県下伊那郡、北は同県木曾郡と恵那郡坂下（さかした）町、南は恵那郡上矢作（かみやはぎ）町、西は南から恵那郡岩村（いわむら）町・恵那市、北西は西に向かって恵那郡福岡（ふくおか）町・蛭川（ひるかわ）村に接する。市名の中津川は大和田重清日記（米沢市立図書館蔵）文禄二年（一五九三）九月二六日条に宿場名としてみえるが、その成立がどの時代までさかのぼるかは不明。中津川が宿名として明確に記録されるのは、江戸幕府の伝馬制が確立してからである。

〔原始〕

市内全域の縄文時代の遺跡は五三ヵ所を数え、前期の落合五郎（おちあいごろう）遺跡からは、関東系の諸磯式土器と関西系の北白川下層式土器が、中期の神坂（みさか）の平（たいら）遺跡からは関東系の加曾利Ｅ式土器と東海系の咲畑式土器が伴出している。縄文中期から平安期までの遺物が出土した中村（なかむら）遺跡では、縄文後期の関東系堀之内II式土器に関西系の土器、縄文晩期の東北系大洞C1式土器と土着の土器が伴出している。弥生時代の会所沢（かいしよざわ）遺跡からは貝田町式、中村・阿曾田（あそだ）・宮田（みやた）の各遺跡からは、後期後半の座光寺原形式の土器が出土している。古墳は中津川・坂本（さかもと）地区に七基、阿木・飯沼（いいぬま）地区に二五基が現存する。飯沼の宮（みや）ノ根（ね）一号墳・六号墳は五世紀末から六世紀前半と推定され、棺・石室をもたない直葬形式の古墳で、この形式は阿木・飯沼地区に多く、ほかの古墳は横穴式石室をもつ後期の古墳である。また阿木の阿曾田遺跡からは、古墳時代中期から後期にかけての住居跡四二基（重複・推定も含む）が発掘されている。

〔古代〕

巨岩の周囲から有孔円板・石製鏡など、古代の祭祀に関係する石製模造品が出土した神坂の山畑（やんばた）遺跡は、神坂峠遺跡とともに畿内から東国へ至る東山道の難所、神御坂（かみのおんさか）越の無事を祈った祭祀の場である。

中津川市
なかつがわし

２００５年２月１３日：中津川市が恵那郡蛭川村・福岡町・坂下町・川上村・付知町・加子母村および長野県木曾郡山口村を編入
⇒【山口村】長野県：木曾郡
⇒【蛭川村】岐阜県：恵那郡
⇒【福岡町】岐阜県：恵那郡
⇒【坂下町】岐阜県：恵那郡
⇒【川上村】岐阜県：恵那郡
⇒【付知町】岐阜県：恵那郡
⇒【加子母村】岐阜県：恵那郡
⇒【中津川市】岐阜県

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

中津川〔市〕
なかつがわ

岐阜県南東部，木曾川とその支流の流域にある市。飛騨山脈と木曾山脈に挟まれた中山間地域にあり，東で長野県に接する。 1951年中津町，苗木町の2町が合体して中津川町となり，1952年市制。 1954年坂本村，1956年落合村，1957年阿木村，1958年長野県神坂村の一部をそれぞれ編入。 2005年坂下町，川上村，加子母村，付知町，福岡町，蛭川村と長野県の山口村を編入。近世には中山道の宿場町として発展。中央本線の開通 (1902) 後は周辺町村の商業中心地となり，また機械，製紙などの工業都市として発達。林業が盛んで，ヒノキの産地として知られる。東部の馬籠は近世の宿場景観をよく残す。中南部の苗木は旧城下町で，苗木城跡は国の史跡。坂本のハナノキ自生地，垂洞 (たるぼら) のシダレモミなどは国の天然記念物に指定されている。北部の付知峡周辺は裏木曾県立自然公園，南部の山地は胞山県立自然公園に，南西部の木曾川沿いは恵那峡県立自然公園に属する。 JR中央本線，国道 19号線，256号線が通り，国道 257号線，363号線の起点。中央自動車道のインターチェンジがある。面積 676.45km²（境界未定）。人口 7万6570（2020）。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典