中道右派(読み)ちゅうどううは

知恵蔵 「中道右派」の解説

中道右派

保守穏健派勢力が欧州各国で盛り返している。2000年2月のオーストリアでの右翼政党(自由党)の連合政権参加以来、欧州諸国の選挙では、EUの東方拡大(拡大EU)による移民急増への不安から保守勢力が健闘し、新しい右翼勢力が躍進した。多くの場合、社民勢力に代わって政権を奪取し、中道右派政権が次々と誕生している。01年5月、イタリアでベルルスコーニ右派連合政権が誕生、ノルウェーデンマークでは右翼政党(進歩党とデンマーク国民党)が第3党に進出した。ポルトガルでは02年3月、中道右派の社会民主党が総選挙で社会党に勝利し、政権交代となった。オランダでは同年4月、右翼新党フォルタイン党が、党首フォルタインの選挙中の急死契機に躍進、キリスト教民主勢力(CGA)に次ぐ第2党となった。1990年代末以降、社民勢力の基盤である労働者、失業者の間での右傾化が顕在化、EU15カ国中8カ国で中道右派政権が登場している。歴史的なEU拡大後の04年6月に行われた第6回の欧州議会選挙ではこの勢力は単独では第1党となった。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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