中野小左衛門(初代)(読み)なかの・こざえもん

朝日日本歴史人物事典 「中野小左衛門(初代)」の解説

中野小左衛門(初代)

没年:寛文2.6.3(1662.7.18)
生年:生年不詳
寛永2(1625)年ごろから享保年間(1716~36)まで営業した京都書肆の初代。名は道也,号は豊興堂。寛永期(1624~44)に盛んな出版活動を行った中野市右衛門道伴はその兄。刊行書は,貞享2(1685)年刊京羽二重』の書物屋の項に,真言書の板元と記されるように,全体としては他宗をも含めた仏書が最も多く,その他,儒書,医書,仮名書などがある。特に初代のころには,『住吉物語』『薄雪物語』『八雲御抄』,北村季吟の『大和物語抄』『土佐日記抄』など,物語や歌学,和学書,漢籍揚子法言』から『女郎花物語』などの仮名草子まで,幅広く活発な出版活動を行ったことが知られる。続く2代と共に,江戸時代最初の出版興隆期を支えた書肆のひとつであった。当時の住居は三条通寺町西入ル。<参考文献>井上和雄編『慶長以来書賈集覧』,安藤武彦「出版書林中野道伴伝関係資料」(『日本古書通信』376号)

(安永美恵)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中野小左衛門(初代)」の解説

中野小左衛門(初代) なかの-こざえもん

?-1662 江戸時代前期の出版人。
中野市右衛門の弟。京都で書店をいとなむ。寛永9年「薄雪物語」「住吉物語」などを出版した。寛文2年6月3日死去。名は道也。号は豊興堂。

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