中間技術(読み)ちゅうかんぎじゅつ

百科事典マイペディア 「中間技術」の意味・わかりやすい解説

中間技術【ちゅうかんぎじゅつ】

発展途上国技術移転を行うとき,その国に適合した技術体系を選択して移転させるという考え方。1965年ドイツのE.F.シューマッハーが近代科学技術体系に代替するものとして提唱したintermediate technology訳語。対象地域の労働力資源市場,自然条件,文化等に適するように改良して適用することを目的とする。その後,地域の特性に応じて地域自立を達成するうえで,最終的効果を最大化する〈適正技術appropriate technology〉という考え方に発展し,1970年代後半にはOECDの報告書もまとめられた。例えば,ボーリング技術による井戸掘りよりも日本の上総(かずさ)掘りのほうが,地域によっては現地によく適合するとされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中間技術」の意味・わかりやすい解説

中間技術
ちゅうかんぎじゅつ
intermediate technology

伝統技術に生産性で勝り,近代技術よりは資本および労働生産性が低いものの,短期間に雇用を創出でき,資金,教育水準,適応性,組織能力などの点で土着企業家層の手の届く範囲にある技術のこと。提唱者の一人,F.シューマッハーはこれを資本コストの面から 100ポンド技術と呼び,伝統技術 (1ポンド技術) の地域でのデモンストレーション効果による普及拡大を強調した。また同様の考え方として,導入サイドの技術水準のほか,諸条件を所与のものとして効果を最大化するような適性技術などがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「中間技術」の意味・わかりやすい解説

中間技術 (ちゅうかんぎじゅつ)

AT

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世界大百科事典(旧版)内の中間技術の言及

【AT】より

…〈もう一つの技術alternative technology〉または〈適正技術appropriate technology〉の略語。いずれもシューマッハーE.F.Schumacherによって提唱された〈中間技術intermediate technology〉の概念をもとに,近代科学技術体系の代替として提唱されている技術体系。中間技術,適正技術,もう一つの技術は,それぞれ主張者によりニュアンスの違いがあるが,おおまかには,近代科学技術がもたらすさまざまなマイナス面を最小限に抑えるために,対象地域(発展途上国等)の労働力,資源,市場,気候,文化等に最も適合するように改良し,適用しようとする考え方。…

※「中間技術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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