丹前風呂(読み)たんぜんぶろ

精選版 日本国語大辞典 「丹前風呂」の意味・読み・例文・類語

たんぜん‐ぶろ【丹前風呂】

〘名〙 (丹後殿の前の風呂の意) 江戸初期、江戸神田堀丹後守の邸前にあった湯女(ゆな)風呂。容色のすぐれた湯女を抱えおき、浴客の垢を掻(か)き、髪を洗い、席に侍るなど遊里と変わらず、寛永一六二四‐四四)の頃から大いに繁盛した。また、この風呂の湯女勝山の寛闊な姿は出入りする客にもてはやされ、旗本奴(はたもとやっこ)町奴(まちやっこ)などの間に、丹前姿と称される伊達姿(だてすがた)を流行させた。明暦三年(一六五七)、良風を害するとの理由で廃止
※俳諧・両吟一日千句(1679)第九「薄霞白かね吸啜(きせる)持たとて〈友雪〉 丹前風呂もさはく夕暮〈西鶴〉」

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デジタル大辞泉 「丹前風呂」の意味・読み・例文・類語

たんぜん‐ぶろ【丹前風呂】

江戸初期、江戸の神田佐柄木さえぎ町、堀丹後守の邸の前にあった町風呂。容色のすぐれた湯女ゆなを置いて、遊客を誘い、繁盛したという。明暦3年(1657)禁止

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世界大百科事典(旧版)内の丹前風呂の言及

【銭湯】より

…しかし昭和40年代半ばを過ぎると,内風呂の普及,都市生活の変化により銭湯そのものが減少する一方,ビル化でビルの中の一室を銭湯にする形が増加している。【玉井 哲雄】
[江戸の銭湯]
 近世初期,江戸では丹前(たんぜん)風呂の名が喧伝され,〈丹前風〉と呼ぶ風俗を生み出した。この銭湯は,現在の神田須田町付近,堀丹後守の邸前にあった何軒かの湯女(ゆな)風呂で,丹後殿前を略して〈丹前〉と呼んだ。…

※「丹前風呂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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