日本大百科全書(ニッポニカ) 「久坂葉子」の意味・わかりやすい解説
久坂葉子
くさかようこ
(1931―1952)
小説家。神戸市生まれ。本名川崎澄子。神戸山手高等女学校卒業、相愛女専音楽部中退。1949年(昭和24)8月、島尾敏雄(としお)の紹介で同人誌『VIKING』に参加、久坂葉子の名で『入梅』を発表。『ドミノのお告げ』(1950)で芥川(あくたがわ)賞候補となるが、52年大晦日(おおみそか)『幾度目かの最期』を書き上げ自殺。自叙伝的な『灰色の記憶』には死臭が漂い、『華々しき瞬間』からは自虐と鋭い感性を持て余した青春の悲鳴が聞こえる。死後、作品集『女』(1953・人文書院)、富士正晴編『久坂葉子作品集』(1980・構想社)などが刊行された。
[尾形明子]
『『久坂葉子作品集・女』『久坂葉子詩集』『久坂葉子の手紙』(ともに1979・六興出版)』