久慈市(読み)クジシ

デジタル大辞泉 「久慈市」の意味・読み・例文・類語

くじ‐し【久慈市】

久慈

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日本歴史地名大系 「久慈市」の解説

久慈市
くじし

面積:三二五・九一平方キロ

県の北東部に位置する。東は太平洋に面し、西は九戸郡山形やまがた村、南は同郡野田のだ村・下閉伊しもへい岩泉いわいずみ町、北は九戸郡種市たねいち町・大野おおの村に接する。現市域は古代には閉伊郡に含まれていたとみられ、中世には同郡から分立した久慈郡の大部分を占め、江戸時代には九戸郡に属した。平庭ひらにわ(一〇五九・八メートル)遠別とおべつ岳を源とする久慈川が、中央部を東流して久慈平庭県立自然公園の一部を形成、北流してきた長内おさない川、北部を東流してきた夏井なつい川と河口付近で合流して久慈湾に注ぐ。南部には小倉こぐら山に源を発する宇部うべ川が東流して野田湾に、北端を東流する高家こうげ川は種市町との境界河川となり太平洋に注ぐ。高家川を除くこれらの川の下流付近は沖積平野となっているが、そのほかの地域は丘陵台地となって市域の大半を覆い、断崖絶壁を築く海岸部は陸中海岸国立公園の北の玄関口にあたる。市街地は久慈川沖積地に立地し、市街地を中心に南北にかつての浜街道にあたる国道四五号が縦貫、西へ国道二八一号、北西へ三九五号が走り、南方内陸部を主要地方道久慈―岩泉線が走る。久慈駅を起点として北へJR八戸線、南へ三陸鉄道北リアス線が通じている。

〔原始・古代〕

久慈川・長内川・夏井川・宇部川などの河川が形成した段丘と海岸段丘は、先史時代から生活の場として使用されてきた。調査によって検出された遺跡は古代集落が中心で、縄文時代・弥生時代の遺跡は数例を数えるにすぎず、旧石器時代の遺構・遺物は現在まで発見されていない。縄文時代早期の桑畑くわはた遺跡では貝殻文土器が発見されているが、遺構は未発見。縄文前期にあたる本波ほんなみ遺跡・麦生むぎよう遺跡などからは遺物が出土している。中期の三崎みさき遺跡群は大規模な遺跡として知られ、多量かつ多種な石器が採取されている。この遺跡群のうち三崎III遺跡が調査され、土壙一一基が検出されている。そのほかには向野むかいの遺跡・小袖沢こそでざわ遺跡などがある。後期のものとしては三崎遺跡群の三崎I遺跡や、昭和五七年(一九八二)に調査され竪穴住居跡四棟が検出された上野山こうずけやま遺跡のほか、北野きたの遺跡・向町むかいちようIII遺跡などがある。晩期遺跡には同五八年に調査された大芦おおあし遺跡や七小出ななこいでII遺跡などがある。弥生時代のものは沖積段丘上に分布するが、調査は現在までされていない。土器片は七小出III遺跡・広野ひろの遺跡・馬場平ばばたいら遺跡で出土した。なお久慈市の名産である琥珀の玉の未完成品が上野山・中長内の古代の竪穴住居跡から発見され、古代において琥珀加工が行われていたことが証明された。

久慈市
くじし

2006年3月6日:久慈市と九戸郡山形村が合併
【山形村】岩手県:九戸郡
【久慈市】岩手県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「久慈市」の意味・わかりやすい解説

久慈〔市〕
くじ

岩手県北東部,三陸海岸に面する市。久慈川が東流し,久慈湾に注ぐ。1954年久慈町,長内町の 2町と宇部村山根村,大川目村,夏井村,侍浜村の 5村が合体し市制施行。2006年山形村と合体。市名はアイヌ語に由来するとされる中世からの地名による。九戸地方の中心をなし,江戸時代は久慈氏の城下町,浜街道の宿場町として発展。やませ対策の施設園芸によるホウレンソウや,米,ダイズの生産も行なわれる。海岸ではアワビ,ウニ,ワカメなどの磯漁業が中心。漁港整備とともにアワビなどの育苗,稚貝放流なども進められている。定置網によるサケやサバなどが水揚げされる。畜産も行なわれ,短角牛を産する。重要港湾に指定される掘込式の久慈港があり,ケイ石,木材,チップなどが積み出される。文化年間(1804~18)から続く相馬焼の技法を伝える小久慈焼や,久慈琥珀が知られている。三陸復興国立公園に属し,小袖海岸は海女の北限地。シラカバ林やレンゲツツジの群落で知られる平庭高原,久慈渓流や長内渓流などの景勝地も多く,久慈平庭県立自然公園に属する。長泉寺の大イチョウは国の天然記念物。八戸市に通じる JR八戸線,宮古市に通じる三陸鉄道北リアス線の終点。国道45号線,281号線,395号線が通る。面積 623.50km2。人口 3万3043(2020)。

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