乱舞(読み)ランブ

デジタル大辞泉 「乱舞」の意味・読み・例文・類語

らん‐ぶ【乱舞】

[名](スル)
入り乱れて舞うこと。踊り狂うこと。「ちょう花畑乱舞する」「狂喜乱舞
五節ごせち豊明とよのあかり節会せちえなどのあとに、殿上人てんじょうびとたちが今様などを歌って舞ったこと。また、その舞。
中世猿楽法師の演じる舞。また、近世には演技の間に行われる仕舞などをいった。らっぷ。

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精選版 日本国語大辞典 「乱舞」の意味・読み・例文・類語

らん‐ぶ【乱舞】

〘名〙
① 入り乱れて踊りまわること。酒宴の席などで、楽器にあわせて歌い踊ること。らっぷ。特に五節の帳台の試(こころみ)や寅の日の淵酔(えんずい)に参加した殿上人などが「びんたたら」などという歌を歌って舞ったことをいう。
兵範記‐仁安二年(1167)一一月一五日「下官、次頭中将、各舞了。次改曲〈白薄様〉又一遍。次出白拍子呪曲、又乱舞。次巡事施各芸能」 〔梁簡文帝‐箏賦〕
② 能で速度の速い舞。
※花鏡(1424)序破急の事「急は、揉み寄せてらんぶ、はたらき、目を驚かす気色なり」
③ 能のこと。また、その一節を謡い奏して舞うこと。らっぷ。
※東大寺続要録(1281‐1300頃)諸会篇「今の乱舞是往古は猿楽と云也」
※天正本狂言・張蛸(室町末‐近世初)「らんふはやるとて、都へ太鼓買ひにやる」
④ (①のような様子を呈することから) 花がしきりに散ること、蝶がもつれ合って飛ぶこと、人が喜んだり興奮したりして跳ね回ることなどをいう。
本朝文粋(1060頃)一〇「落花乱舞衣詩序」

らっ‐ぷ【乱舞】

〘名〙
曾我物語(南北朝頃)八「らっふの折節、あはれとおもひしかども、御分一所にこそと存じて、こらへつる心ざし、おしはかりたまへ」
※雲形本狂言・二千石(室町末‐近世初)「すは乱舞(ラップ)と申すと、下座(げざ)へさがらせられて」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「乱舞」の意味・わかりやすい解説

乱舞
らんぶ

とくに定まった型や曲はなく、歌や音楽にあわせて自由奔放に手足を動かして舞い踊るものをいう。平安末期から鎌倉時代にかけて、公家(くげ)貴族殿上淵酔(てんじょうえんずい)で乱舞が盛んに行われたが、このときの乱舞は朗詠(ろうえい)、今様(いまよう)や白拍子(しらびょうし)、万歳楽(まんざいらく)などを取り入れて歌い舞われた。このような殿上淵酔の乱舞は猿楽(さるがく)ともいわれ、やがて専業の猿楽者の演ずる猿楽をも乱舞といった。乱舞はその後の猿楽能はじめ、さらには風流(ふりゅう)踊にも影響を与えたと思われるが、具体的なことは不明である。なお、能楽の乱舞(らっぷ)は一曲のうちの一節を舞うことをいったようである。

高山 茂]

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普及版 字通 「乱舞」の読み・字形・画数・意味

【乱舞】らんぶ

乱れ舞う。

字通「乱」の項目を見る

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