乳牛(読み)ニュウギュウ

デジタル大辞泉 「乳牛」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐ぎゅう〔‐ギウ〕【乳牛】

乳をとることを目的として飼育される牛。
[類語]雄牛雌牛子牛種牛役牛肉牛牧牛猛牛和牛水牛野牛バイソンバッファローヤク

ち‐うし【乳牛】

《「ちうじ」とも》乳をとる雌牛。ちちうし。にゅうぎゅう。〈和名抄

ちち‐うし【乳牛】

乳をしぼり取るために飼う牛。また、そういう種類の牛。にゅうぎゅう。

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精選版 日本国語大辞典 「乳牛」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐ぎゅう ‥ギウ【乳牛】

〘名〙 乳をとることを主な目的として飼育される牛。一般にやせ型で、乳房の発達がよい。黒白斑のあるホルスタインのほかジャージー、ガンジーなどが代表的品種奈良平安時代には、薬品としての牛乳をとるため、官牧や乳牛院で、牝牛を飼養することが行なわれた。
高野山文書‐文治二年(1186)五月一〇日・太政官牒「兼又伊勢役夫工・大嘗会・造内裏等勅事院事大小国役・宇佐勅使・乳牛以下課役悉可免除之由」 〔勝天王般若経‐四〕

ちち‐うし【乳牛】

〘名〙 飲料乳製品原料とする乳をしぼり取るために飼う牛。ちうし。にゅうぎゅう。
左千夫歌集(1920)〈伊藤左千夫〉明治三七年「乳牛(チチウシ)小舎の流しの井戸近みふたもと植ゑし木蓮のはな」

ち‐うし【乳牛】

〘名〙 (古くは「ちうじ」とも) 乳をとるために飼う牝牛。ちちうし。にゅうぎゅう。〔十巻本和名抄(934頃)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「乳牛」の意味・わかりやすい解説

乳牛
にゅうぎゅう

牛乳の生産を目的として品種改良された乳用種のウシをいう。体形は、乳房が発達して体の後半部が大きいくさび形をしている。代表的な品種はホルスタインで、乳量がきわめて多いが、高温多湿の気候と山地に弱いため、日本では北海道を中心に飼育されている。ほかに、高脂肪率の乳を生産し、耐暑性もあり山地にも強いジャージー、ガンジーなども飼育されているが少数である。繁殖に用いるのは15か月齢以降で、妊娠期間は280日前後であるから、24か月齢で初産が期待される。分娩(ぶんべん)時から3日間母ウシの初乳を子ウシに自然哺乳(ほにゅう)させたのち、人工哺乳に切り替え、3~5か月齢の間に離乳させる。牛乳は、最初の1週間に分泌される初乳を除き、その後の常乳を食用とする。搾乳期間は通常10~12か月間で、分娩後2か月以内に最高乳量に達し、その後徐々に減少する。受胎率は分娩後60~90日ごろが最高であるが、乳牛の場合は一生の産乳量をできるだけ多くするために、分娩後50~60日を授精適期とする。そのため、泌乳後半期以降は妊娠の進行によって乳量は急速に低下する。次回の泌乳に備えるために約50日間は搾乳を休む。これを乾乳という。したがって、乳牛は12~14か月ごとに分娩を繰り返すことになる。乳牛は、乳を生産するため、粗飼料に濃厚飼料を組み合わせて与えられている。搾乳は通常1日2回、ミルカー(搾乳機)を用いて行われる。また乳牛は、乳だけでなく肉も利用されるが、一般にホルスタインは和牛と比較して飼料効率に優れ、赤肉率が高くて肉質もよい。

[西田恂子]


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栄養・生化学辞典 「乳牛」の解説

乳牛

 牛乳生産のためのウシ.

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世界大百科事典(旧版)内の乳牛の言及

【ウシ(牛)】より

…脂肪率は3.4%くらい。〈乳牛の女王〉と呼ばれ全世界に広く飼われている。(2)ジャージー種Jersey(イラスト)イギリス海峡にあるジャージー島原産。…

【肉食】より

…脂質やタンパク質の含有量も生の牛乳より多かった。
[肉食文化成立の条件]
 乳牛にならない雄牛は労働力として利用されたが,労働の内容が遊牧民とヨーロッパとでは異なっていた。前者ではせいぜい運搬用だったのに対し,後者は麦作に密着していた。…

※「乳牛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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