乾隆ガラス(読み)けんりゅうガラス

改訂新版 世界大百科事典 「乾隆ガラス」の意味・わかりやすい解説

乾隆ガラス (けんりゅうガラス)

中国,清代乾隆帝の時代のガラス器。中国のガラスの歴史は紀元前11世紀の西周にはじまるとされているが,戦国時代から宋代になるまで鉛ガラスが主であった。つくられた器物西洋に比べて劣っていたが,明代になって西洋のガラス製造の技術が導入され,首都北京にガラス器の工場ができた。清の康煕帝の1680年,宮廷用の工場として瑠璃厰(るりしよう)がつくられ,乾隆帝の時代に技術は最高潮に達した。製品は瓶,壺,鉢,嚊煙壺(かぎタバコ入れ)などで,白色不透明または半透明のガラスの上に緑,赤,黄などの色ガラスを厚くかけた後,この色ガラスを玉器の細工のように浮彫りにして草花,人物などを表現したものが特徴的である。乾隆ガラスもまた鉛ガラスである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「乾隆ガラス」の意味・わかりやすい解説

乾隆ガラス
けんりゅうガラス
Qian-long

中国,清代に作られたガラス製品。ことに乾隆年間に発達してすぐれたものが作られたので,当代のガラス器の俗称となった。製法は初め中国古来の技法である鋳造法を用いていたが,乾隆期後半より西洋の技術を導入して吹きガラス技法を使用。清の康煕年間 (1662~1722) に北京にガラスの官営工場が設けられてから広く普及し,やがて山東省博山がその最大の産地となった。乾隆ガラスは壺,鉢,皿などさまざまの用途に応じて製品化され,技法も型に流したもの,色被 (き) せガラスに彫刻を施したもの,違った色を部分的に組合せたものなど複雑な展開をみせた。

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