事業所税(読み)じぎょうしょぜい

精選版 日本国語大辞典 「事業所税」の意味・読み・例文・類語

じぎょうしょ‐ぜい ジゲフ‥【事業所税】

〘名〙 東京都政令指定都市などが、都市環境の整備改善に必要な財源を確保するために、一定規模以上の企業に課する目的税。昭和五〇年(一九七五創設

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デジタル大辞泉 「事業所税」の意味・読み・例文・類語

じぎょうしょ‐ぜい〔ジゲフシヨ‐〕【事業所税】

指定都市などが、都市環境の整備・改善に要する費用に充てるため、一定規模以上の企業に課する目的税。→事業税

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「事業所税」の意味・わかりやすい解説

事業所税
じぎょうしょぜい

人口,企業の集中に伴う都市環境の整備のための財政需要の増大は著しく,これに対処するため,1975年度税制改正の一環として「大都市の都市環境の整備および改善に関する事業に要する費用」にあてるための市町村の目的税として創設された (地方税法 701の 30) 。事業所税の課税団体は,地方自治法による政令指定都市,首都圏整備法に規定する既成市街地または近畿圏整備法に規定する既成都市区域を有する市,人口 30万以上の特定市で,事業所などにおいて法人あるいは個人の行う事業または事業所用家屋の新築もしくは増築に対し,当該事業を行う者または当該事業所用家屋の建築主に対し課税する。課税標準は,既設の事業所について,(1) 資産割については事業所用家屋の床面積,(2) 従業者割については従業者の給与総額,新増設事業所については新増設事業所用家屋の床面積となっており,税率は,資産割が 1m2あたり 600円,従業者割が 0.25%,新増設事業所については 1m2あたり 6000円とされている (1992年) 。申告は,法人の場合は各事業年度終了の日から2カ月以内に申告納付し,個人の場合はその年の翌年3月 15日までに申告納付する。なお,事業所の合計面積などが一定規模未満のものは課税されず,公益法人および農業,漁業など特定の用途に用いられている場合には非課税扱いとなる。

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改訂新版 世界大百科事典 「事業所税」の意味・わかりやすい解説

事業所税 (じぎょうしょぜい)

都市環境の整備および改善に要する費用に充てるために,指定都市等が,事業を行う者または事業所用家屋の建築主に課する目的税(地方税法701条ノ30~701条ノ74)。1975年に創設され,(1)事業に係る事業所税と(2)新増設に係る事業所税に区分される。(1)は事業所の床面積と従業者給与総額を課税標準とし,税率はおのおの1m2あたり600円と給与額の0.25%である。(2)は新増設された事業所床面積を課税標準とし,税率は1m2あたり6000円である。中小零細業者の負担を配慮して,一定の規模以下の事業および新増設については課税されない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「事業所税」の意味・わかりやすい解説

事業所税
じぎょうしょぜい

政令指定都市などが都市環境の整備および改善に要する費用にあてるために課する目的税。都市地域にある企業は、都市環境施設から利益を受ける受益者であり、またその整備のための多額の財政支出を誘発する原因者であることから、一定規模以上の企業に対し、企業活動を一定の外形基準によりとらえて、負担を求めるものである。課税団体は、都市環境の整備および改善の緊要度の高い東京都(特別区のある区域に限る)、政令指定都市、首都圏整備法に規定する既成市街地または近畿圏整備法に規定する既成都市区域のある市、人口30万以上の市のうち政令で定める市とされている。1975年度(昭和50)に創設された。

 事業所税は、事業に係る事業所税と新増設に係る事業所税とからなる。なお、都市施設整備事業のように事業所税の課税目的に資する事業や中小企業などについては、非課税措置または課税標準の特例措置が講じられている。

[大川 武]

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世界大百科事典(旧版)内の事業所税の言及

【都市財政】より

… こうした財政需要と都市財政の間の落差への対応は,(1)国からの補助金の増大や地方債,地方交付税の需要項目の算定法式の改善などの依存財源による方式,(2)税源が市域に存在する場合には税制の活用による税源拡充,(3)小規模な自治体の場合には広域合併により財政力をつける,(4)開発者による土地や公共施設の提供を条例で義務づけるなどの開発者負担等の方式がとられた。また,都心部では人口が郊外化して住民税の低下が見られる半面で,法人関係税が国や府県財政に属する部分が大きいので,昼間人口や事業所が発生させる財政需要に対応した事業所税の導入が1975年に行われた。これは事務所・事業所の地方分散を促進するねらいから出発したものである。…

※「事業所税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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