五七調(読み)ゴシチチョウ

デジタル大辞泉 「五七調」の意味・読み・例文・類語

ごしち‐ちょう〔‐テウ〕【五七調】

和歌韻文・詩などで、5音句・7音句の順に繰り返す形式。また、それによって生じる韻律短歌では第2句・第4句で切れるもの。万葉集に多い。→七五調

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精選版 日本国語大辞典 「五七調」の意味・読み・例文・類語

ごしち‐ちょう ‥テウ【五七調】

〘名〙 日本の和歌、詩の音数律の一つで、五音節の句のあとに、七音節の句をつづけたものを単位として反復するもの。軽快な七五調に対し、荘重な感じで、万葉集などでは主流を占めていた。短歌では二句切れ四句切れの形となる。
新古今和歌集詳解(1897)〈塩井雨江総論「僅に万葉集の一巻を披くも、目を驚かさざるを得ざるべし。形式もここに、井然たる五七調の確立して」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五七調」の意味・わかりやすい解説

五七調
ごしちちょう

日本の伝統詩歌および韻文の韻律(調子)の名称で、七五調とともに、その基本をなすもの。一般的に日本古典韻文は5拍の句と7拍の句を基本にしている。その組合せのなかで、「五七/五七/五七/……」の続き方をするものを、とくに五七調とよぶ。記紀歌謡に始まり『万葉集』時代に全盛期を迎える長歌は五七調を基本とした。「うつせみと 思ひし時に/取り持ちて わが二人見し/走出(はしりで)の 堤に立てる/槻(つき)の木の こちごちの枝(え)の/春の葉の 茂きが如(ごと)く/思へりし 妹(いも)にはあれど/たのめりし 児(こ)らにはあれど/……」(『万葉集』柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ))などが長歌の典型的な型である。短歌では、「春過ぎて 夏来たるらし/白栲(しろたへ)の 衣乾したり/天の香具山(かぐやま)」(『万葉集』持統(じとう)天皇)のように、「五七/五七/七」の形を五七調とよんでいる。そのほか、「五七七/五七七」の旋頭歌(せどうか)も、五七調を基にした詩型とみなすことができる。五七調は古代前期においては優勢を占めたが、奈良朝末期からしだいに七五調にとってかわられ、勅撰(ちょくせん)集時代には七五調に主流を譲る。しかし、江戸、明治期に至って万葉調歌人が出現するに及んで、ふたたび復活の兆しをみせたのであった。

佐佐木幸綱

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五七調」の意味・わかりやすい解説

五七調
ごしちちょう

和歌,定型詩などで,5音の句と7音の句が意味的に続き,5・7,5・7の形式で続いていく韻律。和歌では二句切れ,四句切れの歌に多く認められる。「春過ぎて夏来たるらし/白たへの衣ほしたり/天の香具山」のように,『万葉集』に多く,平安時代に入ると初句切れ,三句切れの歌の増加逆比例して減少してくる。新体詩では,「小諸なる古城のほとり/雲白く遊子悲しむ/…」のように,5・7,5・7,…と句を続けて連を構成する定型詩の形式が創始され,しばしば試みられた。軽快な七五調に対して,荘重な感じを与える。

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改訂新版 世界大百科事典 「五七調」の意味・わかりやすい解説

五七調 (ごしちちょう)

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世界大百科事典(旧版)内の五七調の言及

【韻律】より

…フランス詩でひろく用いられるアレクサンドランalexandrinという詩行は,1行が12の音綴から成り,その6音目に句切りを置くのを正格とする。日本の詩歌の,いわゆる七五調や五七調も,音数だけを問題にする点ではこれに近いが,実際には長音を2音と数え,促音や撥音を1音と数えるなどの整理が加えられている。ただし7音や5音の音群については音脚概念の萌芽のようなものが見受けられ,これをさらに精密化して,2音もしくは3音による音脚の存在を説く理論家もある。…

【七五調】より

…文芸用語。主として歌論,詩論に用いられる語で,五七調とならんで,日本の詩歌における音数律の主たる一形式である。7音節とそれに続く5音節とが1単位となったものをいう。…

※「五七調」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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