五條市(読み)ゴジョウシ

デジタル大辞泉 「五條市」の意味・読み・例文・類語

ごじょう‐し〔ゴデウ‐〕【五條市】

五條

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日本歴史地名大系 「五條市」の解説

五條市
ごじようし

面積:八八・八九平方キロ

奈良県の中央西端に位置する。旧宇智郡のほぼ全域に相当し、北は御所ごせ市、東から東南は吉野郡、南は和歌山県、西は大阪府・和歌山県。

北半部は金剛山地の主峰金剛山(一一一二・二メートル)の東南斜面、南半部は吉野山地の北西端防城ぼうじよう(七七〇メートル)の北斜面。中央は五条盆地を形成し、吉野川が東から西に貫流、北流する丹生にう川、南流する宇智うち川を合わせる付近が市街地となっている。

市名「五條」は河北かほく条里制遺称の「五条」の地に該当するというが不明。

〔原始〕

縄文・弥生遺跡は吉野川沿いに分布するが、縄文後期の土器・石器が現東阿田ひがしあだ町小字稲口いなぐち切畑きりはたから出土し、なか町の中遺跡は縄文後期から弥生の複合遺跡として知られ、南岸の段丘上の野原のはら町・霊安寺りようあんじ町からも縄文土器が出土している。弥生式土器は中遺跡のほか、はらたき六倉むつくら小島こじま火打ひうちの各町などでも検出しているが、とくに火打町からは銅鐸も発見されている。古墳も吉野川沿いに大阿太おおあだ古墳群・南阿太みなみあだ古墳群が分布するが、近内ちかうち町付近には大規模で、特色のある古墳がみられる。猫塚ねこづか古墳・つじのやま古墳・西山にしやま古墳などの大型で、しかも五世紀代の古い方墳や、県下でも最大級の鑵子塚かんすづか古墳、原状をよく留めた丸山まるやま古墳などの円墳のほか、円筒棺を埋葬した古墳も知られている。

〔古代〕

現五條市域はほぼ古代の宇智郡(→宇智郡に相当するが、宇智郡は「延喜式」神名帳に「宇智郡十一座並小」とあり、「和名抄」によればあだ郷・賀美かみ郷・那珂なか郷・資母しも郷があり、ほかに坂合部さかいべ郷・二見ふたみ郷があった。養老三年(七一九)創建の栄山えいさん寺の文書によると、宇智郡内にはこおり佐味さび荒木坂あらきさか真土まつちつつみ重坂へさか野川のかわ・阿河南かなん・「長盖」(長曾か)下野しもつけ大岡おおおか・近内などの条里名がみえ、郡内には特殊な小条里が施行されていた。

大沢おおざわ町から出土した吉備真備の母楊貴氏の墓誌には、天平一一年(七三九)の年号を陰刻、宝亀九年(七七八)在銘の宇智川磨崖碑には大般涅槃経を写刻し、奈良時代の宇智文化圏がうかがわれる。奈良から平安時代への転換期に流行した御霊信仰は宇智地方に特異な位置を占めた。井上内親王・他戸おさべ親王の配流の地となった宇智郡は京都と相応じて御霊信仰の中心となり、郡内各地に御霊神社が鎮座(約二〇社)する(→霊安寺宇智陵

西大寺田園目録に「宇智郡阿陀郷下野条三里十七坪一段字犬飼原」とある。「犬飼原」は吉野川流域の阿郷に相当し、滝町に小字「イヌコハラ」がある。

五條市
ごじようし

2005年9月25日:五條市が吉野郡西吉野村・大塔村を編入
【五條市】奈良県
【西吉野村】奈良県:吉野郡
【大塔村】奈良県:吉野郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五條市」の意味・わかりやすい解説

五條〔市〕
ごじょう

奈良県南西部,吉野山地の北西部にある市。吉野川が北部を西流し,沿岸に河岸段丘が発達。南部を十津川が南流し,北西で大阪府,西で和歌山県に接する。 1957年2町6村が合体して市制。 2005年西吉野村,大塔村の2村を編入。慶長年間 (1596~1615) に松倉氏が居城したが,まもなく江戸幕府の直轄地となった。古くは吉野川の河港,大和から熊野,和歌山,伊勢に通じる交通の要地,宿場町として栄えた。吉野山地で産する木材の集散地で,1970年に木材工業団地が完成。割箸,下駄などの木工業のほかカキ (柿) ,ナシなどの果樹栽培も行なわれる。吉野川のアユ釣りは有名。天誅組 (→大和五条の変 ) の遺跡がある桜井寺,国宝の八角堂,梵鐘および国指定重要文化財の七重塔を有する栄山寺があり,御霊神社,春日神社本殿,栗山家住宅,西田家住宅,堀家住宅はいずれも国の重要文化財に指定。国指定史跡の宇智川磨崖碑,栄山寺行宮跡,藤原武智麿墓があり,「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産の文化遺産に登録されている大峯奥駈道 (国指定史跡) が南部に通じる。二見の大ムク,大塔のオオヤマレンゲ (大山蓮花)自生地は国指定天然記念物。「陀々堂の鬼はしり」は国の重要無形民俗文化財に指定。市域の一部は吉野熊野国立公園金剛生駒紀泉国定公園吉野川津風呂県立自然公園に属する。 JR和歌山線,国道 24号線,168号線,310号線,370号線が通る。面積 292.02km2。人口 2万7927(2020)。

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