五礼（読み）ゴレイ（英語表記）Wǔ lǐ

デジタル大辞泉

ご‐れい【五礼】

吉（祭祀）・凶（喪葬）・賓（賓客）・軍（軍旅）・嘉（冠婚）に関する5種類の礼。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ご‐れい【五礼】

〘名〙 中国古代の五種の重要な事柄に関する礼式。吉（祭祀）、嘉（冠婚）、賓（賓客）、軍（軍旅）、凶（喪葬）の五事に関する礼式。〔書言字考節用集（1717）〕〔書経‐舜典〕

出典　精選版 日本国語大辞典

改訂新版　世界大百科事典

五礼 (ごれい)
Wǔ lǐ

中国において，吉・凶・賓・軍・嘉の五つの礼をいう。吉礼は祭祀に関するものであり，昊天上帝（こうてんじようてい）をまつる禋祀（いんし），日月星辰をまつる実柴，司中・司命・風師・雨師をまつる槱燎（ゆうりよう），社稷（しやしよく）・五祀・五岳（嶽）をまつる血祭など12に分かれる。凶礼は喪葬にかかわる儀礼であり，死亡を悲しむ喪礼，飢饉や流行病をいたむ荒礼，災害を哀しむ弔礼など五つに分かれる。賓礼は賓客に関する礼であり，春見の朝，夏見の宗，秋見の覲（きん）など八つに分かれる。軍礼は軍旅に関する儀礼で，都邑や宮室を築く大役の礼，軍事訓練をほどこす大田の礼など五つに分かれる。嘉礼は冠婚の儀礼で，宗族兄弟の親睦をはかる飲食の礼，婚姻や成人式の婚冠の礼など六つに分かれる（《周礼（しゆらい）》大宗伯）。五礼は人間の行為の規制である。祭祀儀礼や家族生活のモラルにかぎらず，広く法的規範さえ含まれている。しかし，すぐれて社会秩序の規律であり，身分・階級の別を正すことによって，終極的には国家の秩序維持に貢献するものである。そのため微に入り細にわたって規定されている。
執筆者：日原 利国

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

五礼
ごれい
Wu-li

中国の礼の総称。古代の中国では，国家，社会ならびに個人の行為に関する秩序，規範を礼と称していた。『周礼 (しゅらい) 』はこれを，吉 (祭礼) ，凶 (喪礼，飢饉，災害の対策) ，軍 (出征，凱旋，軍隊訓練など) ，賓 (外交，交際) ，嘉 (元服，結婚) の5つに分類している。そののち，これが準用され，また礼の総称となった。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

普及版 字通

【五礼】ごれい

吉（祭祀）・凶（喪葬）・賓（賓客）・軍（軍旅）・嘉（冠婚）の五つの儀式。〔周礼、春官、小宗伯〕五禮の禁令と、其の用等（牲器尊卑の差）を掌る。

字通「五」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

世界大百科事典（旧版）内の五礼の言及

【礼楽】より

…秦漢帝国の出現後は，礼楽制度が現実の法治支配を支配者内部の秩序規定を行うことで支持し，統治権力を補完する一方，礼楽体制を聖人(周公と孔子)の制作した〈天地の節序(きまり)〉であり，社会･文化を貫く普遍の道徳世界とする礼義(礼楽理論)を完成するにいたった。　婚姻･郷飲（きよういん）･喪祭･朝覲（ちようきん）の四礼(《漢書》礼楽志)や，吉･凶･賓･軍･嘉の五礼を総合する理論として，〈楽は，天地の和。礼は，天地の序。…

※「五礼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」