井上通泰(読み)イノウエミチヤス

デジタル大辞泉 「井上通泰」の意味・読み・例文・類語

いのうえ‐みちやす〔ゐのうへ‐〕【井上通泰】

[1867~1941]国文学者・歌人兵庫の生まれ。柳田国男の兄。御歌所寄人よりゅうど宮中顧問官。著「万葉集新考」「播磨風土記新考」など。

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精選版 日本国語大辞典 「井上通泰」の意味・読み・例文・類語

いのうえ‐みちやす【井上通泰】

国文学者。桂園派の歌人。号は南天荘。眼科医姫路藩の儒者松岡操の子で、柳田国男、松岡映丘松岡静雄らの兄。「万葉集」や「風土記」を研究した。著「万葉集新考」「南天荘歌集」など。芸術院会員。宮中顧問官。慶応二~昭和一六年(一八六六‐一九四一

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百科事典マイペディア 「井上通泰」の意味・わかりやすい解説

井上通泰【いのうえみちやす】

歌人,国文学者,眼科医。兵庫県姫路の生れ。松岡家の三男。弟に柳田国男,松岡静雄,松岡映丘がいる。帝国大学医科大学(現,東京大学)卒。1877年,医師井上碩平の養子となる。1889年,森鴎外らの訳詩集《於母影》に参画。1892年,香川景樹傾倒して《桂園叢書》を刊行,以後生涯にわたって歌道にいそしむ。1906年には歌会〈常磐会〉を設立,翌年御歌所寄人となり,勅任官待遇となる。《明治天皇御集》《昭憲皇太后御集》を編纂(へんさん)。歌集に《井上通泰詠草》《南天荘歌集》など,研究書に《万葉集新考》《播磨風土記新考》《上代歴史地理新考》などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「井上通泰」の意味・わかりやすい解説

井上通泰
いのうえみちやす
(1866―1941)

歌人、国文学者。姫路に生まれる。原姓松岡。実弟に民俗学者柳田国男や画家松岡映丘(えいきゅう)がいる。医師井上碩平の養子となり、帝国大学医科を卒業、眼科医として名をなす。一方、松波資之(まつなみすけゆき)などに師事し、清新、典雅な桂園(けいえん)派の歌人としても知られ御歌所寄人(おうたどころよりうど)にもなった。森鴎外(おうがい)らとも交友があり、ともに歌会常磐会(ときわかい)をおこす。歌集に『南天荘(なんてんそう)歌集』(1926)などがあるが、晩年は『万葉集』や「風土記(ふどき)」の研究に没頭、『万葉集新考』などを刊行した。

[大屋幸世]

『井上通泰著『豊後風土記新考』(1974・臨川書店)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「井上通泰」の解説

井上通泰 いのうえ-みちやす

1867*-1941 明治-昭和時代前期の医師,歌人。
慶応2年12月21日生まれ。柳田国男,松岡静雄,松岡映丘(えいきゅう)の兄。岡山医専教授などをへて,明治35年東京で眼科医を開業。和歌を松波資之(すけゆき)にまなび,森鴎外(おうがい)らとまじわる。40年御歌所寄人(よりゅうど)。貴族院議員。芸術院会員。昭和16年8月15日死去。76歳。播磨(はりま)(兵庫県)出身。帝国大学卒。旧姓は松岡。号は南天荘。著作に「万葉集新考」「南天荘歌集」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「井上通泰」の意味・わかりやすい解説

井上通泰
いのうえみちやす

[生]慶応2(1866).12.21. 姫路
[没]1941.8.15.
国文学者,医師。号,南天荘。東京大学医科卒業。東京で開業医となり,かたわら風土記を研究。景園派の歌人でもあった。 1907年御歌所寄人。弟に柳田国男,松岡静雄がいる。著書『万葉集新考』 (1928~29) ,『播磨国風土記新考』 (1931) など。

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世界大百科事典(旧版)内の井上通泰の言及

【於母影】より

…1889年(明治22)8月2日《国民之友》第58号の綴込み夏季付録として発表された。訳者は〈S.S.S.〉(新声社の略),メンバーは森鷗外,小金井良精夫人で鷗外の妹喜美子,落合直文,市村瓚次郎(さんじろう),井上通泰。鷗外の翻訳作品集《水沫集(みなわしゆう)》(1892)に再録するときに2編を加えて全19編となった。…

※「井上通泰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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