交換分合(読み)コウカンブンゴウ

デジタル大辞泉 「交換分合」の意味・読み・例文・類語

こうかん‐ぶんごう〔カウクワンブンガフ〕【交換分合】

土地利用を増進するために、土地の交換分割合併をすること。

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精選版 日本国語大辞典 「交換分合」の意味・読み・例文・類語

こうかん‐ぶんごう カウクヮンブンガフ【交換分合】

〘名〙 土地の利用を増進させるため、土地の交換、分割、合併を行なう行政処分
土地改良法(1949)九九条「土地改良区は、交換分合を行おうとする場合には」

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改訂新版 世界大百科事典 「交換分合」の意味・わかりやすい解説

交換分合 (こうかんぶんごう)

日本農業の特徴の一つに分散圃場,すなわち同一経営に属する圃場が数ヵ所に分散している状況がある。分散圃場は合理的な農業経営という観点から大きなデメリットになる。しかも今日では農業機械化がいちじるしく進んでいるため,大型機械の稼働能率が低下し,スケール・メリットを十分に発揮することはできないなど,分散圃場のもつ問題はさらに深刻である。こういう状況で,1戸当り経営面積の拡大とともに,圃場区画を大きくし,分散圃場を集団化させることが日本農業の生産力を飛躍的に高める鍵とみなされているが,分散圃場の集団化の手段に交換分合がある。これは各農家が互いに分散圃場を交換し,また必要に応じて農地の合併を行うことによって,土地の利用の合理化をはかるものであるが,面積,土質等の違いから困難を伴うことが多い。日本における最初の交換分合は1835年(天保6)に大原幽学によって下総国香取郡中和村八石(現,千葉県旭市八石)で実施されたものである。現在は,土地改良法(1949公布)によって,土地改良区,農業委員会,農業協同組合などが実施主体となって行えることになっている。土地改良事業を行う際に農地の集団化率が達成課題としてあげられ,政策的に推進されようとしている。
土地改良
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「交換分合」の意味・わかりやすい解説

交換分合
こうかんぶんごう

分散したり入組んでいる圃場の交換,合併,分割を行うことにより,圃場の集団化 (団地化) をはかること,またはその手段。自作地の交換分合は 1950年からの 10年間で約 160万 haも行われていたが,適用農振地域農用地区域の変更の場合のみに限られていたこともあり,その後激減しあまり行われていなかった。 84年の農業振興地域整備法改正で制度の拡充がなされ,新たに林地などの交換分合,施設配置に関する協定 (農振法集落協定制度) による農業施設を誘導するための協定関連交換分合,農業用施設,創設交換分合が盛込まれた。なお,近年零細的農業経営を交換分合による集団化などにより,20~30haの規模の国際競争に耐えうる新しい農業経営の道も模索されている。

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百科事典マイペディア 「交換分合」の意味・わかりやすい解説

交換分合【こうかんぶんごう】

農民が分散している耕地を相互に交換し,自己の経営耕地を集団化すること。日本のように零細な経営耕地が1戸当り幾ヵ所にも分散している状態では経営の合理化はできない。また農業機械化がいちじるしく進んでいる今日では,その稼働能率も向上しない。そのため,土地改良法(1949年)に基づいて交換分合による耕地の集団化が広く推進された。→耕地整理

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農林水産関係用語集 「交換分合」の解説

交換分合

細分・分散している農用地を、区画、形状等を変更することなく、地域ぐるみで所有権などの権利を交換することによって、広く使いやすい農用地にまとめる(集団化する)こと。

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世界大百科事典(旧版)内の交換分合の言及

【公用換地】より

…一定の計画に従い,公共施設の配置を定めるとともに,土地の区画を整理し形質に変更を加え,換地を割り当て,既存の建物を換地に移転したうえで,従前の土地の権利関係になんらの変更を加えることなく,そのまま換地上に移行させる過程をいう。土地の合理的な利用を増進するために,一定地区内の土地の区画,形質を変更し,権利者の意思にかかわりなく,土地の所有権を強制的に交換分合することを内容とする一種の公用負担である。土地区画整理法(1954公布)に基づく土地区画整理事業や,土地改良法(1949公布)に基づく土地改良事業がこの手法によって行われている。…

【公用負担】より

…公用収用は,公共事業の用に供するために,特定の財産権を強制的に取得するもので,土地収用がその中心である。公用権利変換は,土地の合理的な利用を増進するために,一定地区内の土地の区画,形質を変更し,権利者の意思にかかわらず土地の所有権を強制的に交換分合する手法である。これには,土地区画整理事業にみられるような公用換地と都市再開発事業の場合の権利変換がある。…

【土地改良】より

…したがってそこに充当された農業資本はより生産的になる。第2の形態は,区画形状の変更による大区画圃場の造成,交換分合による圃場の集団化,農道の整備等により,高性能の農業機械の導入を容易にする土地改良で,これにより農業労働時間は節減され,労働生産性も向上する。この形態の土地改良は,第1の形態とは異なり,農業技術の進歩と結びつくことによって,はじめてその投資効果が期待できる。…

※「交換分合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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