京人形(歌舞伎舞踊劇)(読み)きょうにんぎょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「京人形(歌舞伎舞踊劇)」の意味・わかりやすい解説

京人形(歌舞伎舞踊劇)
きょうにんぎょう

歌舞伎(かぶき)舞踊劇。常磐津(ときわず)。本名題(ほんなだい)『箱入(はこいり)あやめ木偶(にんぎょう)』。3世桜田治助(じすけ)作。5世岸沢式佐(しきさ)作曲。西川巳之助・西川芳五郎振付け。1843年(天保14)5月、江戸・市村座で4世中村歌右衛門(うたえもん)の甚五郎(じんごろう)、12世市村羽左衛門(うざえもん)の京人形の精により初演。伝説的な名匠左(ひだり)甚五郎の事績の舞踊化で、のち河竹黙阿弥(もくあみ)が『拙腕左彫物(およばぬうでひだりのほりもの)』として補訂、近年は『銘作左小刀(めいさくひだりこがたな)』の名題で多く上演される。五条の廓(くるわ)の小車太夫(おぐるまだゆう)に思いを寄せた甚五郎が、その姿を人形に彫ったところ、魂が入って踊り出す。甚五郎のまねをして男のような動作で踊る京人形が、懐(ふところ)に鏡を入れてやると女らしくなってクドキになるという、男女の使い分けが見どころ。終盤は甚五郎の大工たちを相手の立回りで、いろいろな大工道具を使った所作ダテが楽しめる。

[松井俊諭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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