京都癲狂院(読み)きょうとてんきょういん

改訂新版 世界大百科事典 「京都癲狂院」の意味・わかりやすい解説

京都癲狂院 (きょうとてんきょういん)

日本最初の公立精神病院。1875年,京都府は岩倉大雲寺における加持祈禱に頼る精神障害者の治療法の改善手段として,精神病院設置を計画した。京都府立療病院の明石博高らが,禅林寺前管長東山天華の協力を得て,南禅寺方丈内に仮癲狂院を設け,岩倉大雲寺等の患者を収容した。開院は同年7月25日で,初代院長に真島利民が就任した。しかし,経営難のため82年10月廃院となった。
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世界大百科事典(旧版)内の京都癲狂院の言及

【精神病院】より


[日本の精神病院]
 日本では,11世紀末から始まるとされる,京都岩倉村の大雲寺を中心とする患者の共同生活(岩倉保養所)が前身的性格をもっていたが,最も古い精神病院は,安永年間(1772‐81)に越後国鵜ノ森(現,新潟県加茂市鵜ノ森)に永井慈現が創立した鵜ノ森狂疾院であろう。公立の最古のものは1875年,京都南禅寺境内に開院した京都癲狂院である。東京における精神病院の最古のものは1846年(弘化3)奈良林一徳の開設した狂疾治療院といわれている。…

※「京都癲狂院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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