フランスのモラリスト、ラ・ブリュイエールの箴言(しんげん)集。副題「当代風俗誌」。1688年刊。ギリシアの文人テオフラストスの作品のフランス語訳に付録として添えるという謙虚な発表形式で世に問われたこの箴言集は、版を重ねるごとに増補されたのみならず、質的にも多くの新味を加えた。「すべては言いつくされた……人情世態に関しても、もっとも美しくもっとも優れたものはすでに刈り取られている」という有名な冒頭の句にもかかわらず、「なにやら野獣のようなものが見える。雄も雌もあって、野良(のら)にちらばっている……腰を起こしたのを見ると人の顔をしている」と農民の悲惨を描くところなどはルイ14世治下にあっては大胆な行為であった。
[山田 ]
『関根秀雄訳『人さまざま』上下(1949、50・白水社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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