人垣（読み）ヒトガキ

デジタル大辞泉

ひと‐がき【人垣】

１ 多くの人が垣のように立ち並ぶこと。「沿道に歓迎の人垣ができる」「人垣をかきわけて前へ出る」
２ 上代、貴人の陵墓に多くの人を垣のように並べたこと。生き埋めにして殉死させた。
「此の王の時始めて陵に―を立てき」〈記・中〉
[類語]群集・人出・人だかり・群衆・黒山・人波・行列・人通り・野次馬・勢ぞろい・烏合・雲霞・群れ

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ひと‐がき【人垣】

〘名〙

① 古く、儀式の際に、人を垣のように立ち並ばせたこと。

※皇太神宮儀式帳（804）「諸内人物忌等及妻子等、人垣立て」

② 令制前、貴人の陵墓に、多くの人を垣のように立ち並べたこと。これを生埋めにして殉死させた。

※古事記（712）中「次に倭日子命。〈此の王の時、始めて陵に人垣を立つ〉」

③ 陵墓のまわりに立て並べた人型の埴輪(はにわ)。人の垣の代用とした。

④ 多くの人が、垣のように立ち並ぶこと。

※たけくらべ（1895‐96）〈樋口一葉〉五「何事と門に立ちて人垣(ヒトガキ)をつくりし中より」

出典　精選版 日本国語大辞典