人種形質(読み)じんしゅけいしつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人種形質」の意味・わかりやすい解説

人種形質
じんしゅけいしつ

人種区分にあたって基準となる形質。そのための条件として,(1) 遺伝する形質であること,(2) 環境の影響をできるだけ受けないもの,(3) 同一集団内では変異がなるべく小さいもの,(4) 人類全体としては,変異幅が大きく,集団間の差異が明らかなもの,の四つがあげられる。従来は,形態が主たる人種形質であったが,近来は,機能的なものから遺伝疾患(→遺伝病)まで用いられるようになり,特に遺伝関係の明らかな血液型,血清蛋白などの多型性形質が好んで用いられる。他方,目につく特徴,あるいは適応と関係のある特徴も人種形成を論じる際に重要視される。実際人種形質として使用されるものは,頭髪の色,形,疎密,柔軟度,体毛量,皮膚の色,児斑,指紋掌紋,足紋,汗腺数,虹彩の色,眼瞼ひだの有無,眼,鼻,唇,耳介,耳朶(じだ,みみたぶ),頤(おとがい),鼻根部などの形,頭の形,顔の輪郭,顔面角,頬骨弓,眼窩上隆起,切歯や大臼歯の形,智歯の欠如,外陰部や乳房の形,身体各部分の比率,各種血液型,耳垢,筋肉の破格の頻度,血管分岐の状態,体脂肪量,味盲色覚異常の頻度,特定疾患の発生頻度,二卵性双生児の頻度などがある。(→人種

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