普及版 字通 「仁(漢字)」の読み・字形・画数・意味
仁
常用漢字 4画
[字訓] したしむ・いつくしむ・めぐむ
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
人+二。〔説文〕八上に「親しむなり」とし、「人二に從ふ」と二人相親しむ意とする。金文や、〔説文〕に古文として録する字形は、人が衽(しきもの)を敷いている形で、二人相人偶するという形ではない。〔儀礼、士昏礼〕「衽を奧に(すす)む」の注に「臥席なり」とあり、衽席を用いて安舒であることから、和親・慈愛の意が生まれたのであろう。一般に徳目に関する字は、正は征服、義は犠牲、(道)は道路の修祓、(徳)は省(いつせい)巡察を原義とするもので、具体的な行為や事実をいうものであった。のち次第に抽象化して、高度の観念に達する。仁もまた衽席(じんせき)によって和むことから、和親・仁愛の意に展開したものであろう。
[訓義]
1. したしむ、なごむ。
2. いつくしむ、めぐむ。
3. あわれむ、おもいやり、なさけぶかい。
4. うるおう、うるおいがある。
5. 人としての徳、最高の徳。
6. 果物のさね。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕仁 キミ・ナムヂ・ヒト・ウツクシブ・メグム・ムツマジ・ヨシ・ヨロコブ・ユルス・シノブ・タフトシ/不仁 カタネ・アシタタズ
[語系]
仁・人njienは同声。衽njimも声が近い。金文の仁の字形にみえる二の形は、卜文の(し)(肉の象)や(酒の形)の下に、往々にして二直線を加えている例があり、その席を加えた形と考えられる。仁の古い字形も、人の下に衽席を敷く形で、人を安舒にする意がある。二人を仁となすというような観念的な造字法は、古代にあってはその例をみない。
[熟語]
仁愛▶・仁簡▶・仁義▶・仁誼▶・仁矜▶・仁謹▶・仁君▶・仁兄▶・仁恵▶・仁賢▶・仁姑▶・仁厚▶・仁公▶・仁侯▶・仁孝▶・仁士▶・仁祠▶・仁慈▶・仁者▶・仁弱▶・仁寿▶・仁恤▶・仁譲▶・仁心▶・仁人▶・仁政▶・仁聖▶・仁声▶・仁惻▶・仁沢▶・仁智▶・仁弟▶・仁篤▶・仁憫▶・仁風▶・仁聞▶・仁明▶・仁勇▶・仁宥▶・仁誉▶・仁廉▶・仁和▶・仁柔▶
[下接語]
温仁・懐仁・寛仁・帰仁・求仁・三仁・至仁・慈仁・質仁・周仁・淳仁・深仁・親仁・聖仁・体仁・篤仁・不仁・輔仁・友仁・里仁
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報