今切(読み)いまぎれ

精選版 日本国語大辞典 「今切」の意味・読み・例文・類語

いまぎれ【今切】

(「いまきれ」とも) 静岡県浜名湖の湖口部をいう。明応七年(一四九八)の大地震で湖口が決壊して海と通じたところからの称。いまぎり。
※丙辰紀行(1616)今切「むかしは山につづきたる陸地なりしが、〈略〉其跡かくのごとく海となりて、今切と名づくるよし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「今切」の意味・読み・例文・類語

いまぎれ【今切】

静岡県浜名湖が海に通じる辺りの称。明応7年(1498)の大地震で砂洲が切れ、海とつながった。江戸時代は渡し舟があったが、現在は浜名湖大橋によって結ばれている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「今切」の解説

今切
いまぎれ

新居あらい町と舞阪まいさか町の境、浜名湖が太平洋とつながる部分を称し、今切口ともよぶ。浜名湖は今切口によって太平洋とつながる以前は淡水湖で、湖から浜名川が太平洋に注いでいたが、中世の地形変化によって今切が形成され、太平洋とつながったといわれる。その要因については地震津波によるもの、あるいは高潮によるものとさまざまな説がある。形成された時期については明応七年(一四九八)と永正七年(一五一〇)の二説に大別される。今切が形成されたことにより、中世東海道要衝であった橋本はしもと宿(現新居町)の機能は低下し、替わって今切渡、今切湊(現新居町)が置かれ、東岸の舞坂まいさか宿(現舞阪町)西岸新居宿(現新居町)近世宿駅として繁栄していくことになる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「今切」の意味・わかりやすい解説

今切
いまぎれ

静岡県西部、浜名湖が外洋(遠州灘(えんしゅうなだ))に通じる決壊口。東海道の要衝で、新居宿(あらいしゅく)(湖西(こさい)市)と舞坂宿(まいさかしゅく)(浜松市西区)間に位置し、渡船で結んだ。渡船場は新居関所(今切関所)に隣接していた。1498年(明応7)の大地震、1510年(永正7)の地震、津波で浜名湖の堤は決壊し、大きく湖口が破られて、半鹹(はんかん)半水湖になり現在に及んだ。1600年(慶長5)新居関所が設置されると、今切渡航は、関所改めの一翼を担い、東海道通行の旅人の完全な検閲に貢献した。現在、浜名バイパスが通じ、今切は浜名大橋によって結ばれている。

[川崎文昭]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android