今和次郎(読み)コンワジロウ

デジタル大辞泉 「今和次郎」の意味・読み・例文・類語

こん‐わじろう〔‐ワジラウ〕【今和次郎】

[1888~1973]建築学者・風俗研究家。青森の生まれ。東京美術学校卒。早大教授民家研究で知られ、また風俗・世相を研究する考現学提唱著作に「日本の民家」「考現学」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「今和次郎」の意味・わかりやすい解説

今和次郎 (こんわじろう)
生没年:1888-1973(明治21-昭和48)

建築学者,同時代風俗研究者。弘前市に生まれる。1912年東京美術学校図案科を卒業,20年早稲田大学建築学科教授。現実社会への強い関心から〈考現学〉〈生活学〉の新たな学問構築を意図し,精力的な研究を行ったが,学派を作らず,その成果は孤立して今日にのこされている。1916年ころより新渡戸稲造,柳田国男らの知遇を得,民俗学勃興期の農村調査に参加して民家建築研究の端緒を印した。また関東大震災後〈バラック装飾社〉を結成し,庶民生活の美化に尽くすとともに,現代風俗を記録研究する学として〈考現学〉を主唱実践した。第2次大戦後〈考現学〉は,旧来家政学への危機意識から,日常生活の総体を主題とする〈生活学〉へ発展した。主な著作は,《日本の民家》(1922),《西洋婦人服装史》(1936)。《今和次郎著作集》全9巻がある。75年今和次郎賞が創設された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「今和次郎」の意味・わかりやすい解説

今和次郎
こんわじろう

[生]1888.7.10. 弘前
[没]1973.10.27. 東京
社会学者,建築学者。 1912年東京美術学校卒業。早稲田大学理工学部建築学科の助手となり,20年教授,59年の定年まで建築美学や装飾原理を教える。都市を通じて,そこで生活する民衆の生活に興味をいだき,都市の生活風俗を採集,記録しようとして舞台装置家の吉田謙吉らとともに考現学を創始する。考現学とは考古学が古い時代のことを考える学問であるのに対して,現代のことを考察する学問を意味する。最初の調査は 25年,当時の流行の先端をいく東京銀座で人々の服装や身ぶりを採集,記録した『1925年初夏東京銀座街風俗記録』である。第2次世界大戦後は,生活学を提唱し,72年日本生活学会を設立した。著書に『日本の民家』 (1922) ,『服装研究』 (47) がある。

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百科事典マイペディア 「今和次郎」の意味・わかりやすい解説

今和次郎【こんわじろう】

建築学者,風俗学者。青森県生れ。東京美術学校卒。早大教授。1916年ころより新渡戸稲造柳田国男らの知遇を得,民家建築の研究を行った。また現代風俗を研究する〈考現学〉〈生活学〉を提唱した。主著《都市改造の根本義》(1917年),《日本の民家》(1922年),《西洋婦人服装史》(1936年)。《今和次郎著作集》全9巻がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「今和次郎」の意味・わかりやすい解説

今和次郎
こんわじろう
(1888―1973)

建築家、民俗研究家。青森県弘前(ひろさき)市出身。1912年(明治45)東京美術学校図案科卒業。15年(大正4)早稲田(わせだ)大学建築学科助教授、20年教授。民家研究創始者の一人。服装研究家としても著名。民家を単に建築としてとらえるのではなく、民俗学的な観点から追究。一方、モダニズムにも着目し、「考現学」を創始。古いものの美しさを新しい生活のなかに生かすことを提唱し、実践的な面で活躍した。主著に『日本の民家』『考現学』『住居とくらし』『住生活』『西洋服装史』などがある。

[天田起雄]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「今和次郎」の解説

今和次郎 こん-わじろう

1888-1973 大正-昭和時代の建築学者,風俗研究家。
明治21年7月10日生まれ。大正期に柳田国男らと民家の研究をはじめる。のち現代風俗を研究する「考現学」を提唱。早大教授を長年つとめ,服飾の研究や家政学など,ひろい分野で活躍した。昭和48年10月27日死去。85歳。青森県出身。東京美術学校(現東京芸大)卒。著作に「日本の民家」「考現学」など。

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