付ける(読み)ツケル

デジタル大辞泉 「付ける」の意味・読み・例文・類語

つ・ける【付ける/附ける/着ける/点ける】

[動カ下一][文]つ・く[カ下二]
あるものが他のものから離れない状態にする。
㋐表面に密着させる。くっつける。付着させる。「おしろいを―・ける」「マニキュアを―・ける」「扉に金具を―・ける」
㋑主となるものに他のものを加える。何かに添えたり、付属させたりする。「利息を―・ける」「振り仮名を―・ける」「部屋にクーラーを―・ける」
㋒あとを残す。あとに残るように書きとめる。しるす。印する。「しみを―・ける」「日記を―・ける」
㋓ある性質・能力などがそなわるようにする。「悪知恵を―・ける」「技術を身に―・ける」
㋔ある物事・状態・作用などを新たに生じさせたり、増し加えたりする。「雪をかいて道を―・ける」「丸みを―・ける」
(着ける)
㋐からだにまとわせたり、帯びたりする。衣服などを着る。着用する。「はかまを―・ける」「犬に首輪を―・ける」
㋑乗り物をある場所に寄せ止める。「船を岸に―・ける」「車寄せに―・ける」
㋒からだのある部分を何かに届かせる。近寄せて触れさせる。「頭を地に―・ける」「頰と頰を―・ける」
㋓ある場所に位置させる。命じて一定の所にいさせる。「走者をスタートラインに―・ける」

㋐あとに続き従わせる。あとに続く。「好位置に―・けている」「2位に―・ける」
㋑ある立場に心を寄せさせて従わせる。「味方に―・ける」
㋒人をそばに置く。そばにいさせて世話をさせる。「ボディーガードを―・ける」「付き添いを―・ける」
㋓あとを追う。尾行する。「少し離れて―・けて行く」
ある働きを発動させる。活動を開始させる。
㋐働きを盛んにする。「食欲を―・ける」「元気を―・ける」
㋑(点ける)燃えるようにする。また、あかりをともす。スイッチなどを入れて器具を作動させる。「枯れ草に火を―・ける」「電灯を―・ける」
五感でとらえる。感覚器官を働かせる。注意を向ける。「気を―・ける」「目を―・ける」
ある定まった状態をつくり出す。
㋐解決させる。落着させる。まとめる。「話を―・ける」「けりを―・ける」
㋑ある名前や値段にする。「題名を―・ける」「時価で値を―・ける」
㋒意志を固める。「決心を―・ける」「死ぬ覚悟を―・ける」
連歌俳諧で、前の句にうまくつながらせて、あとに句をつづける。
器に盛ったりかんをしたりして、飲食物を用意する。「御飯を―・ける」「一本―・けてくれ」
(「…につけ」「…につけて」の形で)…に関連して。…に伴って。…の場合も。「何事に―・け相談してください」「よきに―・け悪しきに―・け」「暑さ寒さに―・けて故郷を思う」
動詞連用形に付いて)
㋐それをすることが習慣になっている、しなれている意を表す。「き―・けている靴」「行き―・けない場所」
相手に対してなされる行為の勢いが激しい意を表す。「たたき―・ける」「しかり―・ける」
㋒その行為が、ある対象に向けられる意を表す。「言い―・ける」
㋓到着する、または来させる意を表す。「駆け―・ける」「呼び―・ける」
㋔しっかりととどめる意を表す。「心に刻み―・ける」
㋕鼻や目で感じとって、何かを探り当てる意を表す。「ぎ―・ける」
[下接句]跡をつける糸目を付けない色を付ける因縁をつける後ろを付ける尾に尾を付ける尾鰭おひれを付ける折り紙を付ける方を付ける金に糸目は付けぬがんを付ける気を付けるけちを付けるけりを付ける黒白こくびゃくを付ける・腰に付ける・先鞭せんべんをつける・田にもあぜにも腥物なまぐさものつけて知恵を付ける注文を付ける提灯ちょうちんを付けるつばを付ける手が付けられない手を付ける取って付けたよう難を付ける難癖を付ける猫の首に鈴をつける熨斗のしをつけるはくを付けるはしをつける火を付けるまゆに唾をつける・身に付ける見切りを付ける味噌みそをつける道を付ける目を付ける目処めどを付ける目鼻を付ける目星を付ける目安を付ける勿体もったいを付ける文句を付ける楊枝ようじに目鼻を付けたよう渡りを付ける
[類語](1㋐)付くくっつくひっつくへばりつくこびり付く触れる吸い付く焼き付く焦げ付く吸着/(1㋑)加える足す添える加わる付け足す付け加える付する継ぎ足す花を添える添加添付付加肉付け加味追加割り増し/(2㋐)着るまとうちゃくする着用する羽織る引っ掛ける身ごしらえする身仕舞いするよそおはくかぶる着込む着こなす突っかける(尊敬)召す召される・お召しになる/(4㋑)灯す点灯点ずる

づ・ける【付ける/附ける】

[接尾]《動詞下一段型活用[文]づ・く(下二)。動詞「つ(付)ける」から》名詞に付いて動詞をつくる。
その物事を他に付け加える意を表す。「関係―・ける」「元気―・ける」
その物事を他に与える意を表す。「位置―・ける」「性格―・ける」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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