伊予簾(読み)イヨスダレ

デジタル大辞泉 「伊予簾」の意味・読み・例文・類語

いよ‐すだれ【×伊予×簾】

伊予国上浮穴かみうけな郡露峰つゆのみね産の篠竹しのだけで編んだ上等のすだれ。いよす。
名物古瀬戸茶入れの銘。小堀遠州命名による。
名物切の名。緞子どんすで、細かい石畳地紋の上に宝尽くしを織り出したもの。小石たたみ。

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精選版 日本国語大辞典 「伊予簾」の意味・読み・例文・類語

いよ‐すだれ【伊予簾】

〘名〙
① 伊予国(愛媛県)上浮穴(かみうけな)郡露峰に産するゴキダケで編んだ簾。ゴキダケは二メートルぐらいに達するものが多く、枝はなく、細いものを上質とした。一年目の枝のない稈(かん)をさらして竹簾に編む。いよ。いよす。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「なはしりがい、はつれたるいよすだれをかけて」

いよ‐す【伊予簾】

※枕(10C終)二八「いよすなどかけたるにうちかづきて」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊予簾」の意味・わかりやすい解説

伊予簾
いよすだれ

平安時代の伊予国(愛媛県)の代表的な物産。都の貴族邸宅日よけとして使われ、風情あるものとされたらしく、『枕草子(まくらのそうし)』に「庭いと清げにはき、伊予簾掛け渡し、布障子など張らせて住ひたる」とあり、『詞花集』に「逢事(あうこと)はまばらに編めるいよ簾いよいよ人を佗(わび)さする哉(かな)」とある。『愛媛面影(えひめのおもかげ)』に「伊予国むかしより簾を出す、名産なり、篠(しの)もて荒々と編たり」とある。愛媛県上浮穴(かみうけな)郡久万高原(くまこうげん)町露峰(つゆみね)のイヨス山66アールの地に自生している直径3ミリメートル、長さ2メートルぐらいのイヨダケという細長い竹を原料とする。江戸時代大洲(おおず)藩に属し、製品は大坂あたりへも出されたが、現在は民芸品として地元でわずかに生産されている。

[伊藤義一]

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動植物名よみかた辞典 普及版 「伊予簾」の解説

伊予簾 (イヨスダレ)

動物。マルスダレガイ科の二枚貝イヨスダレガイ別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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