伊勢使(読み)いせのつかい

改訂新版 世界大百科事典 「伊勢使」の意味・わかりやすい解説

伊勢使 (いせのつかい)

朝廷から伊勢神宮に遣わされる勅使のこと。伊勢神宮の神嘗(かんなめ)祭にあたり幣帛供進のため遣わされる伊勢例幣使のほか,臨時に遣わされる奉幣の使をもいう。例幣使は五位以上の諸王の中から占いをもって選ばれ,これに神祇官の中臣(なかとみ),忌部(いんべ),卜部(うらべ)が従い,これを四姓幣使と称した。幣使発遣の儀は宮中でも重要な儀式とされ,平安末期まで天皇親臨の儀が行われた。例幣使は毎年旧暦の9月11日に都を出発し,15日夕刻から17日まで,外宮・内宮の神嘗祭を執行,20日に帰京して復命した。臨時の奉幣は,国家の重大事また年穀祈願のために伊勢神宮へ幣帛を奉るもので,このためとくに勅使を派遣して国家の安泰を祈った。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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