日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊豆・小笠原海溝」の意味・わかりやすい解説
伊豆・小笠原海溝
いずおがさわらかいこう
本州の房総半島沖から、伊豆諸島と小笠原諸島の東側を、これらに並行して南に伸び、硫黄(いおう)島の東にある小笠原海台で、マリアナ海溝と隔てられた海溝。1933年にアメリカの測量艦ラマポ号により鳥島の東方で発見されたラマポ海淵(かいえん)は、1万0347メートルで、伊豆・小笠原海溝の最深部とされていたが、その後の調査では、1万メートルを超える所はないことが判明した。
一般には、海溝は海洋プレートが大陸プレートの下へ潜り込む部分にできるが、伊豆・小笠原海溝は、その南に連なるマリアナ海溝や、ヤップ海溝とともに、太平洋プレートとよばれる海洋プレートが、フィリピン海プレートとよばれる同じく海洋プレートの下へ潜り込んでいる所にできた、特殊なものである。太平洋プレートのほうが全体的にフィリピン海プレートより重いからであると解釈されているが、重い理由は明らかでない。
[安井 正]