伊豆東方沖群発地震(読み)いずとうほうおきぐんぱつじしん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊豆東方沖群発地震」の意味・わかりやすい解説

伊豆東方沖群発地震
いずとうほうおきぐんぱつじしん

伊豆半島東部から東方沖の相模湾にかけて発生する活発な群発地震。1978年頃から伊豆半島東方沖で群発地震活動が活発化し,1年ないし 2年に 1度くらいの割合で続発した。震源の深さは 20kmより浅く,震源の場所は毎回少しずつ変わる傾向がみられた。地震活動の活発化に合わせて静岡県伊東市付近が隆起していたことから火山性地震と考えられていたが,1989年7月の群発地震に伴って小規模海底噴火が発生,海底火山手石海丘)ができたため,それがはっきりした。このとき観測された地殻変動の分析から,マグマが幅約 3km,厚さ 1~2mの板状割れ目をつくって地殻の中を上昇してきたことがわかった。このような動きを岩脈貫入というが,その後の研究でこの地域の群発地震は岩脈が貫入するたびに発生していたことが確実になった。1999年から 2003年までは一時的に静穏になったが,2004年から規模は小さいが再発しだした。なお群発地震が活発化した 1970年代から 1990年代にかけて,伊豆半島周辺では 1974年の伊豆半島沖地震マグニチュード〈M〉6.9),1978年の伊豆大島近海地震(M7.0),1980年の伊豆半島東方沖地震(M6.7),1990年の伊豆大島近海の地震(M6.5)など M6~7規模の地震も頻発した。

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