伝染性肝炎(読み)デンセンセイカンエン(英語表記)infectious hepatitis

デジタル大辞泉 「伝染性肝炎」の意味・読み・例文・類語

でんせんせい‐かんえん【伝染性肝炎】

流行性肝炎

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「伝染性肝炎」の意味・わかりやすい解説

伝染性肝炎 (でんせんせいかんえん)
infectious hepatitis

イヌを侵すウイルス性伝染病で,直接,間接の接触によって伝播(でんぱ)する。潜伏期は2~5日で,初め40℃以上の高熱を発するがすぐさがり,2~3日平熱で経過し再び発熱し,鞍(くら)形の熱型を示すのが特徴である。すべての年齢のイヌが侵されるが,幼若犬ほど重症のことが多い。迅急重篤型は,朝元気だった子イヌが午後には虚脱状態になり,夕方には死亡してしまい,手当ての余裕すらないことが多い。一般症状は食欲不振と元気消失が主で,合併症がなければ他に特別な症状はみられないが,重症では嘔吐腹痛を伴う血便がみられる。体温が37℃以下に低下する場合は危険である。回復期には角膜が青みがかった特徴的な〈ブルーアイblue eye〉と呼ばれる混濁をみることがある。これは両眼に現れることが多いが,自然に消失して治癒するのが普通である。軽症は成犬の場合が多く,症状を現さずに経過して治癒するが,病原ウイルスは腎臓に長く停滞し,尿中へ排泄され,他のイヌへの感染源になる。治療は輸血輸液などによる対症療法と二次感染を防ぐために抗生物質を投与する。重篤致死型を除けば救命率は高く,予後良好なことが多い。予防ジステンパーと同様にワクチン接種が効果的である。母イヌから譲られた抵抗力移行抗体)の消長を考慮し,ワクチンの接種時期,回数もジステンパーの場合と同様に考えればよい。一般に両種混合ワクチンが用いられている。なお,肝炎ウイルスの感染によるヒト肝炎も,伝染性肝炎または流行性肝炎と呼ばれる(〈肝炎〉の項目参照)。
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