伝法(無料見物・無銭飲食)(読み)でんぼう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

伝法(無料見物・無銭飲食)
でんぼう

「でんぽう」ともいう。江戸時代、芝居小屋などにむりやり入って、無料で見物や飲食すること、あるいは、そうした傍若無人な行動をとる者をいった。本来仏語で師が弟子に法を授け伝えることをいうが、江戸浅草の伝法院の寺男たちが寺の威光をかさに着て、浅草奥山興行や浅草寺境内の飲食店を無料で遊び歩いたことに由来する。転じて粗暴な言動をする無鉄砲(むてっぽう)者や、男女の別なく勇み肌の者をいうようになる。また一説には、正業をもたず年中懐手(ふところで)で暮らす役にたたない者や、やくざの徒をいうとする説もある。

[棚橋正博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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