位付(読み)くらいづけ

精選版 日本国語大辞典 「位付」の意味・読み・例文・類語

くらい‐づけ くらゐ‥【位付】

〘名〙
等級の順序を定めること。優劣の順位。また、それを記したもの。等位。
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「さいけんのくらいづけは山がたにうろこ、仲の丁のよびだしなれども」
② 江戸時代、検地によって田畑の等位を定めたこと。その等位に応じて石盛(こくもり)(=収穫高による等位別)をつけ、納税規準を決めた。その等位は、初め上・中・下の三等。貞享三年(一六八六)以後は上上・上・中・下・下下の五等とした。
※地方凡例録(1794)二「田畠上中下の位附専一に候」
③ 歌舞伎で、役者評判記に用いられた役者の技芸評価の等級づけ。劇評家が付けたもので、上上吉、上上、上、中などと等級を付した。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「鶴屋南北とはむかしの道外役者で、しかも位附(クラヰヅケ)が上上吉名人であった」
連句の付け合いの手法の一つ。前句に表現されている人物や事物品位を見定めて、それに相応する付句をつけること。

くらい‐づ・く くらゐ‥【位付】

〘自カ四〙 品格が備わる。威厳を保つ。
仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)六「さながら、又べちくゎん風の茶にもあらず。位づきて、法を守る」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の位付の言及

【役者評判記】より

…〈野郎評判記〉は1656年(明暦2)に始まると伝えられるが,〈役者評判記〉は1687年(貞享4)ころに始まる。すなわち《野良立役舞台大鏡(やろうたちやくぶたいおおかがみ)》《役者大鑑(やくしやおおかがみ)》などによって,各種の役柄にわたって役者に上上吉,上,中などの位付(くらいづけ)を付し,その技芸を賞賛し,あるいは非難するという〈評判〉の姿勢が形成された。やがて1699年(元禄12)八文字屋刊《役者口三味線》に始まる数年間の評判記によって定型が確立し,以後それが永く踏襲されることになる。…

※「位付」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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