住吉の御田植(読み)すみよしのおたうえ

精選版 日本国語大辞典 「住吉の御田植」の意味・読み・例文・類語

すみよし【住吉】 の 御田植(おたうえ)

古くは陰暦五月二八日、現在では六月一四日に大阪市住吉の住吉大社神田に苗を植える神事。明治以前は田楽猿楽も行なわれた。住吉御田植行事。御田植。《季・夏》 〔俳諧・毛吹草(1638)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「住吉の御田植」の意味・わかりやすい解説

住吉の御田植
すみよしのおんだうえ

大阪市住吉区、住吉大社6月14日(もと陰暦5月28日)の神田(みとしろ)の田植。御田(おんだ)ともいう。国の重要無形民俗文化財。『住吉大神宮神事次第』によると、鎌倉時代の末ごろの同社の御田植には、呪師(じゅし)、猿楽(さるがく)、田楽(でんがく)の諸座が参勤し、大にぎわいをしていた。呪師は京都の法勝(ほっしょう)寺、尊勝(そんしょう)寺の座、猿楽は丹波(たんば)系三座、田楽は和泉(いずみ)の座であったようで、いずれも神宮寺(じんぐうじ)のお抱えであった。このころから田植の実際は、替植女(かえうえめ)によっていた。現在の御田植には、呪師、猿楽、田楽の姿はない。いまも着飾った植女のほかに、実際に早苗(さなえ)を植える替植女が出るが、田中に設けた仮舞台で巫女(みこ)の八乙女(やおとめ)舞、田舞(たまい)、みとしろ舞の楽舞が演じられる。この田舞というのは、明治の初めごろに奈良・春日(かすが)大社の田遊(たあそび)に制作されたものの移入である。みとしろ舞というのは、大阪新町芸妓(げいぎ)による御稔女(みとしめ)の舞である。中世には華麗な遊興でもあった田植のおもかげをよく伝えている。

[新井恒易]


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デジタル大辞泉プラス 「住吉の御田植」の解説

住吉の御田植

大阪府大阪市住吉区の住吉大社に伝わる神事。6月の例祭の際行われる田植神事で、八乙女の田舞や風流武者行事、菅笠をつけた少女たちによる住吉踊などが行われる。1979年、国の重要無形民俗文化財に指定

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