住吉踊(読み)すみよしおどり

精選版 日本国語大辞典 「住吉踊」の意味・読み・例文・類語

すみよし‐おどり ‥をどり【住吉踊】

[1] 〘名〙 (大阪市住吉の住吉大社御田植神事から起こるという)
江戸時代願人坊主(がんにんぼうず)大道で演じた踊り白衣に腰衣、手甲、脚絆(きゃはん)、赤前垂れ、素足にわらじばきで、手にうちわを持ち、数人で組になって、中の一人が長柄大傘の縁に赤絹をたれ、先に御幣(ごへい)を付けたものを押し立て、その柄を割竹でたたき、「やっとこせ、よいやな」と囃し、その周囲を踊り回る。「かっぽれ」の前身。四社踊。《季・夏》
※俳諧・糸瓜草(1661)一「松の花笠は住よし踊かな〈道甘〉」
② 麦わらで編んだ円形の笠で、縁に赤い絹を垂らしたおもちゃ。①に用いる傘を模したもの。
[2] (住吉おどり) 江戸前期の雑俳集。一冊。増田円水編。元祿九年(一六九六)序・跋・刊。雲鼓・哥木・只丸・武虎・嶋水ら三二名の俳諧師の選句を集めた笠付(烏帽子付)集。書名は、笠付に興じるさまを住吉踊りに擬したもの。誹諧住吉おどり。

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デジタル大辞泉 「住吉踊」の意味・読み・例文・類語

すみよし‐おどり〔‐をどり〕【住吉踊(り)】

大阪の住吉大社御田植神事に行われる踊り。歌い手は上に御幣をつけ、縁に幕を垂らした大傘を立て、手の割り竹で傘の柄を打ちながら歌う。数人(本来は四人)の踊り手は縁に幕を垂らした菅笠すげがさをかぶり、口を白布で隠し、手にうちわを持って踊る。江戸時代には願人坊主大道芸として流布し、かっぽれ万作踊りなどに影響を与えた。 夏》

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改訂新版 世界大百科事典 「住吉踊」の意味・わかりやすい解説

住吉踊 (すみよしおどり)

民俗芸能。大阪市住吉区の住吉大社に伝承される踊りで,古くは住吉大社の神宮寺,新羅寺の社僧が御田植祭に踊ったあと,住吉代参の祈禱の目的で京阪を巡回して踊ったものだという。白木綿の衣装に手甲,股引,脚絆といった旅仕度の者4~5人が円陣をつくり,音頭取りが大傘を立てて〈住吉様の岸の姫松目出たさよ〉などと傘の柄をたたきながら歌うのにつれて,うちわを打ちふり足をはねあげて踊る。茜(あかね)染の布をめぐらした菅笠(すげがさ)や茜木綿の前垂れなどにも特徴がある。江戸時代には願人坊主(がんにんぼうず)が持ち歩いて各地に流行させた。後に生まれたかっぽれ万作踊などに影響を与えている。現在の踊りは明治初年に中絶していたものを1921年と31年に復活・再興したもので,住吉大社の6月14日の御田植神事に少女たちによって踊られる。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「住吉踊」の解説

住吉踊
(通称)
すみよしおどり

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
催馬楽踊始
初演
明和7.閏6(大坂・藤松座)

住吉踊
〔清元〕
すみよしおどり

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
明治32.8(東京・新富座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

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